3話 フェイトファミリーが誇る有能イケメン。
3話 フェイトファミリーが誇る有能イケメン。
「もっと遠くに逃げていると思ったのだけれど……随分、近くにいたね、カティ」
センの背後から登場した『カティの追手』が、
優雅な仕草と態度で、
「ダメじゃないか、カティ。父親を刺すなんて、いけない子だ」
彼は、『シャブルン・フェイト』。
年齢は27歳で、高身長細身のイケメン。
巨大暗部組織『フェイトファミリー』の中でも、トップクラスの暗殺者。
存在値450で、バースディ・カルマを余裕で超えている。
「カティ、『上』の決定を伝えるよ。君の才能は惜しいけれど、『親』に手を出した以上、処分せざるを得ない。それが、フェイトファミリーの掟。暗部の掟は融通がきかない。『もろもろ、もっと柔軟にした方がいい』というのが、ぼくの意見なのだけれど、まだ、『ぼく個人の意見』は『掟』になってくれない。5年後ぐらいだったら、意見を『掟』に昇華できるだろうけれど、今は、まだ、ね」
「……」
「死に様ぐらいは選ばせてあげるよ、カティ。毒殺と刺殺、どっちがいい? あ、言うまでもないけど、最初に言っておこうか。『ごめんなさい』は通じないよ」
と、そこで、センが、
「シャブルン兄さん、まあ、落ち着こうよ。あんたは、いつだって、目が怖すぎる」
と、二人の間に入って仲裁を買って出る。
そんなセンに、シャブルンは、虫を見る目を向けて、
「……誰、お前?」
と、冷徹極まりない声で、そう言った。
カティに対する態度とはまるで違う。
「元ファミリーだよ、シャブルン兄さん。ちなみに、俺とあんた、去年だけで、2回ぐらいは会っているんだけどね」
「……? ほんと、これ、だれ?」
そう言いながら、シャブルンは、カティに視線を送った。
どうやら、シャブルンは、『センをバカにしている』というわけではなく、
本当に、『センが誰か分からない』らしい。
それを察したカティは、
「……ソレは、センエース・カルマ。バースディ・カルマの息子」
と、助言を受けたことで、シャブルンは、
「……ああ! いたね! そういえば、そんなのが! 確か、レベルが10ぐらいしかない、『恥知らずのゴミ』だったっけ?」
「ちっちっち。全然違いますよ、シャブルン兄さん。俺のレベルは10じゃありません」
「ん? ああ、まあ、さすがに、そこまでカスではないかな」
「俺のレベルは『1』です。それ以上でも、それ以下でもない」
「……」
「ゆえに、『恥さらし』以外にも、『カルマ家の落ちこぼれ』『暗部の面汚し』『史上最弱の無能』『どうしようもないゴミ』『命の底辺』『飛べないゴキブリ』などなど、数えきれない称号を背負っていますよ。この年で、それだけたくさんの称号を背負った男は、暗部全体を見渡しても、そうそういないんじゃないかなぁ、えっへん」
「そんなカスが、なんで、その年まで生きているのか……あとで、バースディ・カルマを問い詰めないといけないね。腐ったミカンを早期に排除するのも、ファミリーの掟の一つだというのに」
そう言いながら、
シャブルンは、ナイフを取り出して、
『達人の目でも、なかなか追えない速度』で、
『センの首』を『スパッっと切断』してみせましたとさ。
――めでたし、めでたし。




