112話 気合いは全てをどうにかしてくれる。知らんけど。
112話 気合いは全てをどうにかしてくれる。知らんけど。
「というわけで、謳えよ、田中。自分は天才だと叫んで、答えを見つけろ。そのあとは、俺が、お前の答えにオールベットしてやる。俺とお前が組んだら最強だ。ただ、この関係性の重要度は、マックスの10を二人で割ったとして、俺が7で、お前が1な。その比率だけは譲れねぇ。ネ○ルと同化するときのピ○コロぐらい譲れねぇ」
バグったことしか口にしないセンに呆れる田中。
普段から、『ゴリゴリにバグっていること』に定評があるセンさんだが、田中を前にした時の彼は、『親を前にした時の思春期ボーイ』よりも情緒が不安定になる。
そんな『厄介が過ぎるセンさん』の相手をさせられて、
心底からしんどそうな顔になる田中。
田中は、ダルそうにタメ息をつきながらも、
「そもそもやな、セン。ワシは、なんの答えを見つけたらええねん」
根本的な疑問をぶつけていく田中。
それは、極めて、まっとうな問いだった。
センは、わずかも躊躇することなく、
稀によくみる『マジで目がイっちゃっている顔』で、
「俺の弱体化を解除する方法とか、見つけてもらえるとありがたい。俺の人生的に、どうせ、絶対に、このあと、アウターゴッドが湧いてでて、エグいぐらいヤバいことになるのは分かってんだから、最大戦力である俺の力を、是が非でも覚醒させておく必要性がある。あいつらだけでアウターゴッドを処理するのは絶対に厳しいから。というわけで、端的にオーダーを告げる。コスモゾーンの深層に、何らかの手段でアクセスして、なんやかんでデータを改造するんだ。もしくは、やり方は知らんけど、とにかくどうにかデバッグコマンドを自力で発動させるなりなんなりして、なんとか、俺を『究極超神化10』が使える最強の究極超神にしてくれ。ちょっと妥協して究極超神化9でも可。わかったか? わかったら、なるはやで、オナシャス、ちーっす」
「……お前なぁ……『なんやかんや』とか『とにかくどうにか』とか……そんな、具体性のカケラもない希望願望だけのオーダーで企画を実行できるわけないやろ。どんなにヤバいクライアントでも、流石に、もう少し、マシな要求仕様書を提出してくんで」
そんな田中の、『まっとうなクレーム』に対し、
センは、さらに、イっちゃっている目を強めて、
「出来る、出来る。お前なら出来る。気合いだ、気合いだ、気合いだ」
「……気合いって言葉に、万能性を見出す種族とは、対話にならへんねんなぁ……」
と言いつつ、
田中は、どうにか、現状を打破する方法を考える。
うーん、うーん、と頭をひねってみる。
ここに関しては、『考えているフリ』みたいな、そういう小ボケではなく、
マジで、必死になって頭をまわしている。
だが、
「やっぱ、無理やて。てか、普通に考えてそうやろ。どないせぇっちゅーねん、マジで」
何も届かない。
詰み。
対戦ありがとうございました。
「……うーむ……なるほど、見えてきたな」
「なにがやねん」
「つまり、この現状は……俺の戦闘力と、お前の天才性がないモードってことか……」
「……」




