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108話 焼き土下座の準備を始めろ!


 108話 焼き土下座の準備を始めろ!


「おお、マジでか」


 体の痛みがなくなったセンは、

 ちょっとだけ残っている傷跡を確認しつつ、


「そんないいものをもっているなら、登場と同時に使わんかい。まったく、使えないやつだ。そういうところだぞ。反省しろ」


 と、大胆なカス発言を決め込むセンに、

 田中は、普通にイラっとした顔で、


「まずは、『ありがとうございました。このご恩は一生忘れません』やろうが、くそったれが」


「感謝は、現状の危機を正式に脱してからだ。今はとっておけ。釣りはいらん。俺は気前がいいんだ。男前だしな」


「……」


「で? 田中よ、お前は、現状の何を知っている? 聞いてやるから、申してみぃ」


「何様やねん。てか、おどれ、態度がずっとおかしいぞ。ワシのこと嫌いなんか? お前に、マイナス面の何かをした覚え、一ミリもないねんけど」


「一人称ワシの『関西弁を使う田中』を見ると虫唾が走る体質でな。まあ、あまり気にしてくれるな。お茶目な癖でしかない」


「……ワシの観点では、気にせんわけにはいかん特質やなぁ。普通に改善してくれや、キモいやっちゃのう」


 本音をもらしてから、

 田中は、


「……現状に関して、ワシも何も知らん。今日はたまたま、屋上で昼寝したんやけど、気付いたら夜やった……そんなにまでゴリゴリに爆睡することなんか、ワシ、滅多にないねんけどなぁ……」


「お前の自分語りに興味はない。この俺様にとって大事な事実だけを淡々と述べよ。次、無駄なことを口にしたら粛清しゅくせいするぞ。焼き土下座の準備を進めろ、黒服ぅ!」


 と、見えない黒服に命令を出すセンさん。


 田中は、しんどそうな顔で、一度、タメ息をついてから、


「目が覚めてから、普通に帰ろうと思ったんやけど、なんか、この学校、どうやら、夜になると、キモいことが山ほど起こるみたいでなぁ。変な化け物が湧いたり、妙なアイテムが出てきたり……ドン引きしつつも、なんとか、生き残るために、サバイバルしとったところで、お前が殺されかけとるんを見て、こうして、危険を顧みずに、助けにきたわけや、どうや? そろそろ、額を地につけて、感謝のあまりむせび泣く頃合いちゃうか?」


「大した情報をもっていないな。やっぱり使えない野郎だ。粛清決定。焼き土下座5時間の刑! 口だけの謝罪に意味はない! 痛みを伴ってこそ、謝罪には誠意が生じるのだ!」


「……こんなサイコ、助けんかったらよかった……ほんまに……マジで……」



 ★



「で、閃。おどれは、何しててん? まさか、ワシと同じで、昼寝したら、夜までおきんかったとか言うんやないやろな。……もし、仮に、マジで、そうなんやったら、強制長時間睡眠という共通点から、何か、とっかかりを見つけられるかも――」


「いや。俺は、特待生たちを華麗に助けるヒーローになりにきた」


「……あん?」


「きっと、夜になったら、この学校に何か変なのが湧いて、それを、特待生たちが狩っているだろうと推測し、たぶん、苦戦しているだろうから、おそらく、俺の力が必要になる可能性がなくもないと思い、こうして、一も二もなく、はせ参じたわけだ。いじらしかろう? 胸打たれて、むせび泣く許可をやろう」


「……『きっと』、『推測』、『たぶん』、『可能性がなくもない』、『だろう』、『おそらく』…………前提が全部、予想でしかないんやけど……おどれ、それ、マジでいうとるんちゃうよな? ただのボケやんな?」


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