101話 自分以外の何かに依存して、何になる?
101話 自分以外の何かに依存して、何になる?
「あーしは、家族をバカにされたからキレているだけ。つまり、正当で普通!」
そう叫ぶアンドレに、
カンパネルラは、じっとりとした呆れ顔で、
「……いや、あの……グレイの悪口を言われる前から、キレていたような……」
「言いがかりつけてくんな! あーしは、基本、温和で柔和なんだよ!」
「……まあ、あなたが自分のことをどう思っているか、その辺は、あなたの自由だから、べつにどうでもいいのだけれど……とりあえず、『本気の殺し合い』をするほど怒り狂うのはやめて。そんなこと、神は望んでいない。神が、私たちのような『有能な超人』を、この『龍脈溢れる地』に集結させたのは、この世界を救済するため。決してケンカするためではない」
「あんたとカキマロの、その、謎の信仰、マジでウザいんだよ。神を信じるのは勝手だけど、押し付けてくんな、鬱陶しい」
「押し付けてなどいないわ。ただ、事実を口にしているだけ」
「あー、ほんと、ウッザイ! あんたらみたいな、狂信者とか、エバみたいなファザコンとか、ほんと、意味不明! 自分以外の何か依存しまくって、自分自身の思想や感情を蔑ろにして、なんでもかんでも、神はこうだから、パパがこうだからって、なんっだそれ! きっもい! 『自分』はないのかよ! 自分の道は自分で決めろよ! 他人にオールを任せんな! 価値観、人生観、その二つを基準にした最終判断を、自分以外の何かで埋め尽くすとか、正気の沙汰じゃない!」
と、自分の中にくすぶる本音を喚き散らした彼女に、
カンパネルラは、ボソっと、
「……あなただって、ブラコンじゃない」
と、一声で刺していく。
「あぁあああん?! この、あーしのどこが、ブラコンだって証拠だよっ!」
「いや……全部? あなたの言動って、基本、兄中心じゃない?」
「キッモいこと言うな! このブス!」
「――『巫女(神に仕え、神のために舞う者)』である私は、美貌も重要であると考えているわ。だから、自分への投資を怠っていない。肌や髪なんかの外側のケアだけではなく、腸や脳なんかの、内側のケアも万全。……だから、私はブスではない。あなたと同じぐらいの美少女であるという自負がある」
「定型文の悪口に、一々、全力のマジレスしてくんな! 何より腹立つのは、あんたが、あーしに配慮しまくって、自分の美貌評価を、『あーしと同じ』と口にしやがったこと! あんたの方が上だってことは、みんな、わかってんだよ! てか、そもそも、悪口言われてんだから、『あんたよりも自分の方が圧倒的に美人なんですけど、何言ってんの?』ぐらい言ってこい! そっちの方が、まだ清々しいわ! あんたの、その、そこらの一般女子みたいな、周りに気を使いまくっているところ、マジでキモいんだよ! 特待生なんだから、特待生らしく、不遜に構えてろ! クウリュートやカーミライムを見習え! あいつらは凄いぞ! 『世界一の美女』や『銀河の支配者』を自称する、本物の馬鹿女どもだ! あたしら特待生は、そのぐらい頭おかしいのでいいんだよ!」




