表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/1228

1話 巨大暗部組織フェイトファミリーの事情。


 1話 巨大暗部組織フェイトファミリーの事情。


 ――人気ひとけのない路地裏で、センは、ゴミ箱に腰かけて、

 『彼女』が来るのを待っていた。

 5分ほど待ったところで、


「うっす、カティ姉。ひさしぶり」


 センは、彼女に、そう声をかけた。

 すると、彼女――カティは、


「ひさしぶり? 一週間前に会ったばかりだけど? というか、タメ口をきくな、クソガキ。あんたの家の方が序列は上だけど、私の方が年上なんだから敬語を使え、バカ。私は、カスにナメられるのが一番嫌いなんだ」


 『レミングウェイ・カティ・デステニィ』。

 センよりも7つ年上の10歳。

 アダムやシューリとは方向性の違う『プライドの高さ』が特徴的な、ボーイッシュ&ゴシックを基調としたスタイルの暗部系美少女。


 デステニィ家も、カルマ家も、

 『フェイトファミリー』という巨大暗部組織に所属している。

 一応、序列で言えば、カルマ家の方が上だが、ほぼトントン。


「セン……あんた家出したって聞いたけど? こんなところをウロウロしていた大丈夫なの? 家の人間に殺されるんじゃない?」


 ファミリーの情報は、基本的に共有される。

 ただ、『どういう伝わり方をするか』は、それぞれが飼っている諜報部の腕次第。


「この俺が、あんなカス共に殺されるワケないじゃないすか、姉さん。バースディ・カルマが、存在値変わらない状態で100億人ぐらいに分裂して、束になってかかってきても秒で皆殺しっすよ、うっへっへ」


「頭、大丈夫?」


 フェイトファミリーの中だと『弱者は死ぬしかない』というルールが主流。

 その中でも、センは『史上最弱・別格の弱者』ということもあって、ファミリー全員から、『とにかく、はやく死んでくれ。この恥さらしが』と言われていた。


 そんな中で、唯一、『どうでもいい』というスタンスをとっていたのがカティ。

 ゆえに、センは、彼女に対して悪感情は抱いていない。


 シューリのように、『助けてくれた』というわけではないので、

 プラスの感情を抱いているというワケではないが。


「頭と心は完全に狂っていますよ。そりゃそうでしょ。こんだけ完璧に『最低の人生』なんすから。それに、ここ数日、いろいろとありましたからね」


 一度、遠い目をして、そう言ってから、

 センは、カティの目をジっと見つめて、


「――ま、それはともかく、カティ姉さん、ぼくと契約して、冒険者少女になってよ」


「はぁ?」


「手柄は俺がたてるよ。姉さんは、ただ、その恩恵を受けてくれればそれでいい。地位も名誉も金も思うがまま。よかったね。というわけで、冒険者になってね」


「……あんた、さっきからずっと、マジで何言ってんの? マジで頭がイカれたの?」


「俺、目立っちゃダメなんだよね。隠密にコトを成さないといけないわけ。でも、『裏でこそこそするだけ』だと、勲章とか厳しいんだよ。というわけで、チームを創ろうと思ってさ。俺は『チームの裏方』に徹しようと思う。で、姉さんには『チームの顔』になってもらいたいわけ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
巨大暗部組織フェイトファミリーというハードな設定から、 冒険者少女への転換を提案する展開のぶっ飛び方に、 痺れました!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ