表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

674/1228

90話 女子チームも、全員、変態。


 90話 女子チームも、全員、変態。


「くくく。ダリィさんよぉ、どんなに苦しいときでも、『それでも』と叫び続けるのが、お前の流儀なんだろ? だったら、ほら、笑えよ、ダリィ。この終わっている状況でも、勇気を叫んでみせろよ。ほれほれ。どうした。元気がなくなってきたぞ? 大変だなぁ。かわいそうだなぁ。おつかれぇぇえい!」


 試合は、一方的な惨劇となってしまった。

 ダリィは、この絶望的な状況でも、折れることなく、必死になって、『エースで四番』の仕事を務めようとした。


 チームの要。

 キャプテンであり、監督であり、コーチでもあり、応援団長でもある。

 そういう、すべての責務を一身に背負い、必死になって、この絶望的な運命に抗った。


 しかし、


「ちょっとぐらい、手加減しろや、クソ有能女どもぉおお! チーム力の差を考えろぉおお! まともにやったら、こうなるのは分かってんだろうがぁああ! 人の心がねぇのか、てめぇらぁあ! 鬼畜にもほどがある! コールドまっしぐらじゃねぇか、くそったれぇええ!」


 3回表の守備の途中、

 7点取られたところで、

 ダリィは、女子チームのベンチに向かって本音を叫んだ。


 そんなダリィの叫びに、

 女子チームの主砲、『特待生異常体力組代表の一人』であるクウリュートが、


「ぼくらみたいな、か弱い乙女チームに手加減なんかされたら、君らの男としてのプライドがズタズタになってしまうじゃないか。それは、さすがに忍びないよ」


 と、ニタニタしながら、そんなことを言ってきた。

 ダリィは、ワナワナと震えながら、


「ほんと、てめぇは性格が悪いな、おい……」


「ぼくは、特待生の中でも、飛びぬけて美人だからね。特待生の中だけじゃなく、世界中みわたしても、並ぶ者がいないレベルの突き抜けた美貌を持つ。世界で一番美人ってことは、世界で一番性格が悪いってことさ。『性格のいい美人』なんていう矛盾した存在は、この世にいないから」


「お前の理論、絶対に間違っているからな。『この世の中に絶対はない』とは、よく言う言葉だけれど、これだけは絶対だ。お前は、絶対に間違っている」


 などと対話していると、

 そこで打席に立っているチーニュ・フォンドボーが、


「どうでもいいけど、さっさと投げてくれない? バットもって立っているだけでも、疲れるんだから……ほんと、気がきかない男……生きる価値なし。死罪」


 と、だらけた態度と、冷めた口調で、けだるげにそう言った。


「ちょっと投げるのが遅れただけで、死を求めてくるお前は、絶対に、裁判官とかになっちゃいけない女だな」


 と、渋い顔でそう言ってから、

 ダリィは、いつもの豪快なフォームで渾身の一球を投げ込む。


 かなり会心のリリースで、しっかりとしたコースに決まった入魂。

 そんな、今のダリィにとって最高格の一球を、


 キィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインッッ!


「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!」


 快音でぶっ飛ばしていくチーニュ。

 つい、悲鳴を上げてしまうダリィ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ