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89話 ふふん、どうやら、ビビったようだな。


 89話 ふふん、どうやら、ビビったようだな。


「そうですよね。ホウマさんのいう通りです。ぼくらは頑張った方ですよ。ホウマさんにいたっては、一度、カスってファールになっていますし」


「ぴよぴよ」


「ですよねぇ」


 そこで、ダリィが渋い顔で、


「え、ちょっと待って。そいつの、『ぴよぴよ』ってなに? どういうこと?」


「ああ、ホウマさんは、厨二病に脳をやられて、ちゃんと喋れないんですよ」


「……だいぶおかしなことを言っているが……まあ、とりあえず、事実関係はいったん置いておいて……『なんで、お前は、鈴木の言っていることがわかるんだ?』という話をさせてもらおうか」


「わかりませんよ。なんとなく、『そういうことが言いたいのかなぁ』と勝手に推測して、勝手に納得しているだけです。人間同士のコミュニケーションなんて、つきつめてみれば、結局のところは、そんなものですよ。あ、今、僕、ちょっと人間関係の真理を口にしましたね。いやぁ、僕、そういうところがあるんですよ。たまに、ポロっと真理を口走っちゃうっていう」


 そんな佐藤の言葉に、紙野ボーレが、


「わかるわぁ。俺も、そういうところがあるからさぁ。つい、真理が出ちゃうんだよなぁ。まあ、真理っていうか、名言っていうか? ほら、俺って、人間性の深みがダンチじゃん? そうなってくると、さすがに、言葉の端々に、どうしても、意図していなくとも、気品と深みが出尽くししまうんだよなぁ。つれぇわぁ。俺という概念が深すぎてツレぇわぁ。何が辛いのか知らんけど」


 と、マシンガン自分語りを始めた。

 好き放題、自分のキャラクター性を魅せつけてくる彼らを背負って、

 我らの主役、センさんが、腕を組み、不敵な笑みを浮かべ、


「ふふん。ダリィよ。どうやら、ビビったようだな。そこにいる連中は、一般生徒の中では、トップクラスの変態どもだ。くっくっく。『特異な人間性』を有しているのが、特待生だけだといつから錯覚していた?」


 そこで、田中シャインピースが、


「ちょ待てや。ワシは別に普通やろ。こいつら変態と一緒にすなよ」


「自己紹介、お願いできる?」


「田中シャインピース、16歳。職業、世界を裏から操る300人委員会の代表」


 そんな彼を、親指で指さしながら、

 センは、ダリィに、得意満面の笑顔で、


「どうだ! すごいだろ! 色々な意味で! 頭のおかしさだけで言えば、こいつらは、特待生を凌駕している! 暴虐の紙野、異端の田中、独尊の佐藤、飛翔の鈴木、これが、一般人変態四天王だ! 覚えておくがいい!」


 と、変態の頂点に言われたことで、

 まともな凡人ダリィは、戦慄の表情を浮かべ、


「ちょっと待て! なんで、このチーム、変態が大集合してんだ?! ただでさえ、特待生の数が少なくて大変なのに、チームメイトが重度の『メンタル的足手まとい』って……え、俺、なんで、こんな、酷い状況に落とし込まれてんだ?! 俺、なんか悪いことしたか?!」


 と、ひどく狼狽ろうばいしているダリィに、

 センは、黒い笑顔で、


「くくく。ダリィさんよぉ、どんなに苦しいときでも、『それでも』と叫び続けるのが、お前の流儀なんだろ? だったら、ほら、笑えよ、ダリィ。この終わっている状況でも、勇気を叫んでみせろよ。ほれほれ。どうした。元気がなくなってきたぞ? 大変だなぁ。かわいそうだなぁ。おつかれぇぇえい!」



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