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80話 最善の一手の追求。


 80話 最善の一手の追求。


「……ジャクリナが指揮系統から外れれば、勝機はあるんだが……彼女の頭の上に隕石が落ちてきて、この試合から離脱すれば、勝率が、どうにか1%ぐらいはなるが」


「仮に、ジャクリナの頭の上に隕石が落ちてきて、あいつが死んだら、超大問題で、100%、没収試合になるから、勝率は0%だろうが、ボケが。お前、頭いいはずだよな? なんで、ちょいちょい、ゆがんだボケを口走る? ちょっとは考えて喋れや」


 そこで、グレイが、苦笑いしながら、


「考えすぎているのが問題なんじゃないかな、クマートゥの場合。見えている世界が僕たちと違いすぎる。……そもそも、クマートゥさあ、この試合で勝つ方法なんか、考えなくていいって。クマートゥが言う通り、ガチで最初から詰んでんだから」


 そこで、また、ダリィが顔を真っ赤にして、

 グレイの胸倉をつかみあげ、


「そんなメンタルで、試合に挑むバカがどこにいるぅううう! どんだけ劣勢だろうと、歯ぁ食いしばって、最善をつくし、勝利を求めねぇとダメだろうがぁああ!」


「せ、正論なんだけど、定期で暴力をふりかざすのやめてくれる?」


 グレイは、『面倒くさそう』かつ『しんどそう』な顔で、そう言った。


 と、そこで、

 それまで、空気に徹していたセンが、


「ダリィ。他人に無茶をおしつけるなよ。カンツもそうだが、お前らちょっと、歪んだ傲慢を決め込みすぎだな」


 いつもの『軽いボケ』を完全に封じた、真剣なまなざしで、

 ダリィを睨みつけて、


「ダイナマイト・ダリィ。お前が貪欲に勝利を求めるのは自由だし、その心根に対してカッケェとも思うが、しかし、その思想を、他人に押し付けんじゃねぇ。恐怖政治ではなく、背中で引っ張れ。それが出来ないなら、絶望を覆す勝利なんか求めるな。迷惑だから」


 そんな、真正面からの言葉で串刺しにする。


 すると、ダリィは、


「あ? てめぇ、誰だ、ごら」


 と、目を血走らせて、ガッツンガッツンに威圧してくる。

 ダリィは、小柄だが、『殴り合い』のスペックにおいて、特待生の中でも上位に入る。

 そんな強靭な肉体を誇る彼に睨まれていながら、

 しかし、センは一ミリたりとも臆することなく、

 ダリィの目をジっとにらみつけたっま、

 ニヒルに微笑んでから、



閃壱番せんえーす。探偵さ」



「……あぁ?」


「気にするな。ただのテンプレだ。自己紹介をするとき、『探偵さ』をつけずにはいられない。そんな哀しいサダメを背負った男。それが俺ってだけの話。どうだ、どうしようもなく腐っていやがるだろう? 遅すぎたんだ、何もかも」


 あまりシリアスになりすぎるのも問題がある、

 と、勝手にそんなことを思い、

 ボケの濃度を高めた自己紹介を決め込んでいくセン。


 そんなセンの態度に、

 ダリィは、まっとうにブチギレて、


 グイっと、

 センの胸倉をつかみあげ、


「ナメてんのか、てめぇええ!」


 と、ゴリゴリのキレ顔で、そう叫ぶ。


 ダリィは小柄だが、腕力はハンパじゃない。

 一度、ブチギレて、夜中に暴走していた族20名を、素手で瞬殺したという噂が流れているが、それは事実であり、その後、報復にきた100名以上の族を鉄パイプ一本で瞬殺したというウワサも誇張のない真実。


 絶対にキレさせてはいけないけど、常にキレている男。

 それが、彼――ダイナマイト・ダリィ。

 『とりあつかい注意』がすぎる爆弾。

 あぶなすぎるため、基本、一般人は近づかない腫物。


 そんな彼に、胸倉を掴まれていながら、

 しかし、センは、1ミクロンたりともビビりのない目で、


「これが、お前の言う『勝つための最善』か?」


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