表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

650/1228

66話 あいつら、人間じゃねぇ。


 66話 あいつら、人間じゃねぇ。


 異常レベルのバケモノ、カンツ・ソーヨーシ。

 そんなカンツに匹敵し、特定の分野においては凌駕している天才、

 アストロギア・ハザード。


 ――そんなアストロギアは、


「カンツほどの剛速球は投げられないけど、変化球には自信があるからねぇ。私も、完全試合を狙わせてもらうよ」


 などと、完全試合宣言を決め込んだ上で、

 『カミソリみたいなシュート』や『打席からは消えたように見えるフォーク』で、一般生徒をハメ殺していくアストロギア。

 正直、一般生徒なんか、ど真ん中ストレートオンリーでも、余裕で仕留めることは可能。

 カンツほど速い剛速球は投げられないが、アストロギアが本気を出せば、普通に150キロ以上の速度を出せる。

 150キロという数字は、一流の体格と才能を持ち、一流の努力を積んだプロだけが到達できる領域。

 しかし、そういう常識をぶっ飛ばしていくのが『天才』という理不尽。


 アストロギアの速球は、ただ時速の数値が高いだけではなく、バッチバチのスピンをかけた、鬼のようにノビのあるフォーシーム。

 プロ級のキレがある速球なんか、一般高校生が打てるわけがない。

 そんなことは、アストロギアも分かっているが、

 体育の間、アストロギアは、一般高校生相手にも、

 ちゃんと、『本気』を魅せつける。


 今回の野球だけではなく、

 陸上競技の時も、サッカーやバスケの時も、

 特待生は、手を抜かず、ちゃんと、

 一般高校生相手に、本気の『次元が違う姿』を魅せつける。


 一般生徒たちは、彼らの『異次元』に、間近で触れることで、

 『人類の高み』を知り、その可能性に未来を見る。


 ……という、なんだか、よく分からない思想で、これらの合同体育は行われている。

 国や学校がどう思おうが、ぶっちゃけ、知ったこっちゃなく、

 一般生徒は、特待生の異常性を目の当たりにして、

 いつも、ただただ、


「「「「「……あ、あいつら、人間じゃねぇ」」」」」


 と、おののくばかり。


 投手アストロギアと打者カンツの勝負は壮絶を極めた。

 ゴッキゴキに、四隅のピンズドを、鋭角な変化球でかすめていくアストロギアの投げまわしに、カンツは、野生勘だけでくらいつく。

 5回のファールを経て、ついに、カンツのバットが、アストロギアの球を捉えた。

 まるで、風神みたいなスイングのキレ。

 見えないバッドにさらわれて、

 打球はぐんぐんと伸びていく。


 普通にサク越えの一打だが、


「ズシオーっ!」


 アストロギアのかけ声が響き渡る。

 その声に応えるわけではないが、レフトを守っているズシオーが、


「ふんぬらばぁっ!」


 先ほどのアクバート以上のダッシュと跳躍力で、

 完全にサク越えの一打をグラブにおさめた。


 それを見たカンツが、


「がはははは! 相変わらずの、ふざけた身体能力だな、ズシオー。今の打球を取るとは、お見事、お見事ぉ!」


 などと叫んでいる彼を尻目に、

 センは、渋い顔で、


「身体能力のふざけ具合で言えば、お前の方が上だよ……」


 と、素直な感想をボソっと口にする。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ