表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

648/1228

64話 神算鬼謀(笑)。


 64話 神算鬼謀(笑)。


「お前、倫理観、どうした? 発言が、とにかく、やばすぎるだろ。ていうか、ビアラ、普通に可愛いだろ。あいつを微妙って、どういう目ぇしてんだ」


「だから、あの美形集団の中ではって話だよ。神話生物研究会のメンバーって、基本、美形ばっかりだろ?  まあ、バンプティだけは普通に微妙だが……仮に、神話生物研究会のメンバーが、カードゲームになったら、ビアラと、バンプティが、ハズレ枠だな。ははは」


 などと笑っている紙野を横目に、

 ドン引き顔のセンは、ボソっと、


「……言っておくが、ビアラもバンプティも、実践的な殺人術をマスターしているらしいから、お前は、社会的にではなく、普通に殺されると思うぞ」


「原初の神と言っても過言でないこの俺を、あいつらごときが殺せるわけないだろ。俺を殺せたら大したもんだよ」


「……」


 そこで、センの頭の中で、夢の中でのアレコレがよぎった。


(もし、あれが、全部、夢ではなかったら、こいつの発言は嘘じゃねぇ……こいつは、『原初のイタズラ』を持つチート神で、カンツたちは、ゼノリカの中間管理職でしかないから……)


 そう思うのだが、

 しかし、同時に、


(……あらためて考えると、だいぶめちゃくちゃな夢だな……そっちを現実としてとらえている方が、明らかにおかしい……)


 夢と現実のはざまで、ずっと、揺らめいているセン。


 何が本当で、何が幻なのか、

 時間が経つにつれて、どんどん曖昧になっていく。


 紙野の思考誘導は止まらない。

 おそろしく繊細で巧妙な神算鬼謀。

 すべての発言・行動、一挙手一投足がセンを翻弄している。


 どうすれば、センエースを惑わせることができるのか、

 その辺を、1000億年ぐらいかけて勉強してきたかのような、

 とてつもない老練さを感じさせる。



 ★



 平均的一般生徒センの日常は、極めて退屈なものだった。

 どうでもいい授業をダラダラと受けて、昼休みになったらテキトーにメシをくって、たまにトレイにいくだけの簡単なお仕事。


 座学の授業では、特筆すべき点は皆無だったが、

 しかし、午後の体育では、少々、様子が違った。


 神話生物研究会のメンバーは、全員、超特待生であり、

 一般生徒とは隔離された『特待生クラス』で授業を受けるのだが、

 体育だけは、いつも、一般クラスと合同で受ける。


 今回の体育の内容は、ゴリゴリの野球。

 本来、繊細な特殊技能が必須である野球が、体育で行われることはない。

 サッカーやバスケやソフトなど、技能的に低次元でも、どうにか成立するスポーツが選ばれるのが基本だが、しかし、イカれた運動能力をもつ特待生と合同ということもあり、ある意味で『ちょっと変わった種目』が選ばれることになった。


 野球が、一般的な高校体育で選ばれない理由は、『難しすぎるから』である。

 がっつりと、毎日練習しているピッチャーでも、ちゃんと『ストライク』に入れるのは、実のところ、一苦労。

 外野がフライをさばくのも、内野がゴロをさばくのも、

 ちゃんと練習している球児でも、実のところ、一苦労。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ