52話 俺、いらんなぁ。
52話 俺、いらんなぁ。
そこらの一般人なら、手がかりを一つ見つけるだけでも数年を必要とするであろう『隠し扉』を、あっさりと発見していく十席の面々。
ほかにも、いくつか、この空間内には、隠されていた情報があったのだが、その全てを、サクサクと、発見していく天才集団。
そして、集まったすべての情報を、端的かつ的確に、センへと報告。
十席が集めた詳細を吟味したセンは、
(……やっぱ、こいつらすげぇなぁ……)
と、自分の配下の有能さにホクホク顔でご満悦になる。
(こいつらと、九華と、五聖と三至が手足を担い……その上で、『頭』をシューリが担当すれば、ゼノリカは完璧……で、『数値的に、どうしようもない強大な敵』が出てきた時は、トウシ&ソンキーに任せれば問題はない……うん、俺、いらんなぁ……)
『層の厚さ』を改めて実感するセン。
(ソンキーでもしんどいような『ヤベェ敵』が出てきた時に、最終兵器中の最終兵器として、チョコっとワンポイント起用されるぐらいの立ち位置が、俺的には、一番望ましい。もっといえば、『究極融合戦士センキー』用の合体パーツ扱い……そのぐらいのポジションが、正直、一番、おいしくて、かつ、楽でいい……うん……)
センは、未来について思いをはせる。
将来的には、ゼノリカの面々から、センエースに関する記憶を根こそぎ奪うつもりでいるセン。
その上で、ゼノリカから自分の『席』を抹消して、本当にやばいときだけ、ちょびっとだけ顔を出す『影の実力者』のポジションにつこう――というのが、センの現時点における最大目標。
(影の実力者として、誰にも正体を知られることなく、ちょいとした面倒事だけを、歯車の一つとして、ちょくちょく解決しつつ、世界を完璧に循環させるエネルギーの開発に着手……完璧な未来だ……)
多くの絶望を乗り越え、
ありとあらゆる領域の頂点にたった男が、
最後にのぞんだのは『影の実力者』だった。
なんとも数奇な話である。
このセンの思想を、
欲がないとみるか、
堕落しているとみるか、
それは、見る人の視点によって異なるだろう。
「陛下、隠し扉の奥にはエレベーターがありました。どうなさいますか?」
「できたら、まずは、俺一人で行きたいんだけど――」
「ありえません」
「だよねー」
そう言われるのは分かっていたことなので、
センも、特に反論せず、
「けど、誰かをカナリアにするのは、気分的な意味で、あまりよろしくない……というわけで、全員でいこう……ちなみに、そのエレベーターは、25人@1が入れるサイズか?」
「かなり大きいので、問題ないかと」
「よし……じゃあ、いこうか……」
センの号令に従い、全員が、躊躇なく、エレベーターに乗り込む。
基本的な標準サイズのエレベーターの、ざっと5倍ぐらいのサイズ。
だいたい、30人ぐらいは楽に乗れる広さなので、ギュウギュウ詰めといった感じではない。
全員が乗り込んだのを確認してから、
カンツが、エレベーターを起動させるレバーを引いた。
すると、
ギュオンギュオンと音が響き渡り、
そのまま、
「……っっ……っ???!!!」
その場にいる25人が一斉に気を失った。
「うざぁ、もぉ……当然のようにワナ……しかも、かなりやべぇランク……っ!!」




