表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
634/1228

50話 よきにはからえ。


 50話 よきにはからえ。


 ここまでの『あれやこれや』で、ただでさえ、そうとう疲れてきていたのに、高ランクの衰弱をくらったことで、フラッフラの、ヘロッヘロになるセンエース。

 だが、そんな無様な姿を配下の面々に見せる訳にはいかない、と、無理に自分をシャンと立たせるセン。

 王としての見栄もあるし、心配されるのは鬱陶しいという想いもある。

 様々な想いでがんじがらめになりながら、そんな中で、無理に意地を張ったりするものだから、余計に体力をもっていかれる。


(……あ、やばい……気絶しそう……)


 と、『実は倒れる一歩手前の状態』でありながら、

 しかし、


「陛下、お体は大丈夫ですか? 最後に、あの者から、『ただならぬ呪い』をかけられた模様ですが――」


 と、ジャミから心配されると、

 センは、


「ジャミよ。たわけたことをぬかすな。俺を誰だと心得る。神界の深層を統べる命の王センエースさんだぞ? 呪いなんか秒でレジストできるに決まっているだろう」


 と、気丈にふるまい、


「まあ、現状がタルすぎて、眠気がエグいのは事実だ。つまんねぇ映画の、長ったらしいエンディングロールを眺めているしんどさって感じだな。アクビを我慢するのも疲れるレベル。敵が、もう少し厄介であってくれれば、ちょっとは楽しめるんだが……あまりにヌルすぎて、逆にしんどい。もう、こんな茶番に付き合うのも飽きたから、サクっと、最後のタワーをぶっ壊してくる。ここのコアの破壊は任せたぞ」


 最後にそう言い残してから、

 センは、『十席とセン』しか入れないタワーへと向かった。



 ★



 タワーに向かう途中の道なりで、

 センは、


(あ、ダメだ、これ……死ぬぞ、これ……どうしよう、これ……)


 『20日ほど完徹・連勤した社畜』のような状態と言えば、

 今のセンさんの状態が、少しはご理解いただけるだろうか。


 頭はまわらない。

 筋肉も関節も痛みが止まらない。

 頻繁に視界がグルグルと回って、吐き気と動悸と眩暈が交互に襲ってくる。

 こめかみの深部がズキズキと鈍い痛みを発して止まらない。

 感覚器官や臓器の各所が悲鳴をあげているのが分かる。


 だが、それでも、センさんは、


(……トドメを……さすだけなら……まだ……なんとか……)


 第三のタワーも、『どうせ、これまでと同じ流れだろう』から、

 『最後にトドメを刺すだけでいいなら、まだ可能』――と、

 自分に言い聞かせながら、センは、

 『タワーの前で勢ぞろいしている十席』の前に降り立つ。


 総勢25名。

 全員が、破格の天才であり、かつ、狂気的な努力を積んできた、休まないウサギ。


 磨き抜かれた超天才集団『九華十傑の第十席』の、

 『実質的』なリーダーである『カンツ・ソーヨーシ』が、

 一歩前に出て、


「陛下。ここまでにおける『タワー攻略』の流れは、ゾメガ様と銃崎殿下から、テレパシーでうかがっております。この第三のタワーでは、トドメも含めて、すべて、ワシらにお任せを。陛下は、我らの働きぶりを見届けてくださるだけで結構です」


 バキバキの目で、『全部お任せあれ』と胸を叩くカンツに対し、

 センは、ぶっちゃけ、『ありがてぇ』と思っているが、


「俺の獲物を全部かっさらおうって? 相変わらずの大胆さだな。本来であれば、そんな勝手は許さないところだが……その大胆不敵さに免じて、今回ばかりは、お前らに手柄を譲ろう。よきにはからえ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ