表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

633/1228

49話 愛してるぜ。


 49話 愛してるぜ。


「常識にとらわれていたら、何も出来ない。可能性ってのは、いつも、非常識の向こう側にある……そんな現実を……教えてやらぁああ!」


 と、叫びながら、カミラは、豪快に暴れ始めた。

 明らかに、これまでよりも動きは鈍っているが、しかし、もともと戦闘力が低いので、戦闘力の低下、というのは、そこまで大きな問題になっていない。


 それよりも数値の上昇の方が大きく、

 専用マシンゴーレムのスペックも高いので、

 普通に、ちゃんとパワーアップを果たしていた。


 ――確かに、強くなっている。

 素の状態よりもはるかに。


 しかし、


「……問題ない! 物量で押していける!」


 と、前衛のジャミが叫んだ。

 圧倒的な『手数の差』の前では、

 少々のパワーアップなど、ほぼ意味がない。


 丁寧に、慎重に、『ゼノリカが誇る高性能な神族たち』は、

 専用マシンゴーレムを駆るカミラを押し込んでいく。


 ダメージはくらっている。

 無傷の楽勝というわけではない。

 下手なムーブをすれば、刈り取られる。

 数値の差は、もちろん大きい。


 ――しかし、ゼノリカは最善の奮戦を果たした。

 しっかりと、カミラを削っていく。


 丁寧に、丁寧に、

 慎重に、慎重に、

 ――それぞれに出来る全てを賭して、

 少しでも、ほんのちょっとでも、わずかでもいいから、と、

 必死になって、カミラを削っていく。


 その結果、


「十分だ! お前ら、愛してるぜ!」


 閃拳一発で殺せるぐらい、シッカリと弱ったカミラの前に、

 センエースは、ウッキウキのスキップで登場。


 最小労力で最大の成果を出せるという、効率厨にはたまらない現状。


 『愛している』というメッセージに、ゼノリカの面々は震えているが、しかし、センは、配下が感涙していることに気づいていない。

 自分に愛されて喜ぶ人間がいると想定して生きていないから。

 いつだって、センエースだけが、己の価値を正しく理解していない。


「閃拳!!」


「どべへぇえええええっ!!」


 腹部を思いっきりぶん殴られて、専用マシンゴーレムの外殻がコナゴナに砕け散った。


 吹っ飛ばされている中で、

 カミノは、


「お、俺の専用マシンゴーレムの特徴は!! 受けたダメージを呪いに変えるぅうう!! 呪いの種類は自由自在! ターゲットは、センエースオンリー! ここまでに受けた全ての『痛み(ダメージ)』を返すぜ! 『衰弱』に変えて!!」


 最後の抵抗をみせる。


 すでに戦える状態ではなく、死ぬのは確定だが、

 別にP型(自分)が何体死のうがどうでもいい、

 という、信念を暴走させた神風特攻のスタイル。


 命がけの呪いをかけられたセンは、


「どえっ……っ」


 ガクっと、ヒザから崩れ落ちそうになった。


(れ、レジストしてんのに……くいついてきやがる……どんだけ重い呪い……)


 『呪いをくらったらレジスト』というのは、もはや、センレベルになると反射以上の速度で行われる。

 デバフに対するレジストの技能も、破格に高い――はずなのに、

 カミラの『おきみやげ』は、センをしっかりと削っていった。


(……これは『暴露を積まれたから』とか、そんなチャチなもんじゃ断じてねぇ……根本的に質が高い『じゅ』……専用マシンゴーレムとやらの異常性が垣間見られる……)


 ここまでの『あれやこれや』で、ただでさえ、そうとう疲れてきていたのに、

 高ランクの衰弱をくらったことで、フラッフラの、ヘロッヘロになるセンエース。

 だが、そんな無様な姿を配下の面々に見せる訳にはいかない、と、無理に自分をシャンと立たせるセン。

 王としての見栄もあるし、心配されるのは鬱陶しいという想いもある。

 様々な想いでがんじがらめになりながら、そんな中で、無理に意地を張ったりするものだから、余計に体力をもっていかれる。

 悪循環。

 とにかく、悪循環。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ