48話 元主人公×元ヒロインのアンサンブル。
48話 元主人公×元ヒロインのアンサンブル。
「神速閃拳!」
『体力ゲージがミリ』の相手に、弱下段でとどめをさすかのようなムーブで、サクっとミシャンドラを落としてみせた。
続けて、キメラもセイバーもフルボッコにしていく。
こっちの二人は、さすがに、センが主導でないと倒せなかったが、それでも、五聖と九華の面々が必死に頑張ってくれたので、どうにか、それなりに体力を温存した状態で、倒すことに成功。
――そこまではよかったのだが、
「ああ、くそ……やっぱ、付け焼刃のP型戦法じゃ無理か……」
P型カミノ2号は、ダルそうに、そうつぶやいてから、
「……あんまり、やりたくなかったが……」
そう言ってから、
ジオメトリを生成する。
その奥からやってきたのは、
一人の女の子。
その女の子を見たセンは、
(どっかで……見たことがある気がする顔……どこだっけ……)
記憶の海にもぐっていくが、
しかし、
(思い出せねぇ……ただのデジャブか?)
などと、よどみのある記憶に溺れていると、
カミノが、
「セイラ……悪いが、力を借りるぞ」
そう言いながら、セイラの額に手をあてて、
「アマルガメーション」
融合の魔法を使い、彼女と一つになる。
カっと、一度、強い光が放たれた直後、
そこには、中性的な一人の戦士が立っていた。
「……カミノとセイラが合体して、カミラってとこかな」
などと、軽くテンプレを口にしてから、
カミラは、
「さらに!」
グっと、魂魄に力を込めて、
「特別機動人形ランク23。――カミラ専用煉獄、出撃準備開始」
詠唱をすると、カミラを中心として、地面に巨大なジオメトリが展開される。
それを見たセンは、
(専用マシンゴーレム? なんだ? 初めて聞くふざけた言葉のはずなのに……なぜ、その概念に対して、俺は、過剰なほど強く反応をしめす?)
デジャブの奔流にのみこまれている。
そんなセンの戸惑いなど、世界は、一切考慮しない。
カミラの頭の中に、メッセージが響き渡る。
『――専用マシンゴーレム、出撃準備完了』
起動開始の合図が表示されると同時。
地面に描かれたジオメトリから、無数の『魔法鋼パーツ』が、噴火したマグマのようにドワっと湧き上がってくる。
そして、そのまま、ガチャガチャガチャッと、召喚者の体を閉じ込めていった。
そのまま形成されていく。
専用マシンゴーレムの威容。
戦闘準備が整ったカミラは、センを睨み、
「……融合したら、数値は上がっても、戦闘力が爆裂に低下して、むしろ弱くなる……それが、お前の中の常識だろう、センエース」
「ああ、まあな。俺の中の常識っていうか、世間一般の常識だが」
「常識にとらわれていたら、何も出来ない。可能性ってのは、いつも、非常識の向こう側にある……そんな現実を……教えてやらぁああ!」
と、叫びながら、
カミラは、豪快に暴れ始めた。
明らかに、これまでよりも動きは鈍っているが、
しかし、もともと戦闘力が低いので、
戦闘力の低下、というのは、そこまで大きな問題になっていない。




