43話 絶望マウントのとりかた。
43話 絶望マウントのとりかた。
とことんまで、しっかりと時間をかけて、オーラと魔力を練りに練って圧縮したがゆえに可能となった、コストの低いジャブを超必殺技にまで昇華させるという荒業。
そんなセンの省エネ戦法の前に、カミノ・キメラ・セイバーのポンコツ三人組は、サクっと、消滅してしまった。
「さて……おかわりは、どんなもんかな?」
と、センは、第二ウェーブに備えていたが、
しかし、一向に、うんともすんとも言わない。
「ん?」
いくら待っても、何も起きないので、
「え、まさか、ファーストステージは、これで終わり? チュートリアルすぎん?」
などとつぶやきつつ、
セン一行は、階段をつかって上へと向かう。
すると、そこには、むき出しのコアがあった。
センは、警戒しつつも、
「まあ……時間もねぇしなぁ……」
などとつぶやきつつ、
サクっと、コアを叩き壊した。
すると、どこからか電子音が響き渡る。
『三至タワー、攻略! おめでとう!』
「え、マジで、これで攻略なの? ヌルイねぇ……俺が、これまで、どんだけの絶望を乗り越えてきたか、知ってる? 知らないなら教えようか? ああ、答えなくていい。勝手に教えるから。教え厨としてのマウントを勝手にとらせてもらうから」
コホンとセキをはさんでから、
「俺の絶望は『楽勝か?』と思うところからはじまる。最初は調子いいんだが、基本的には『勝てる』と思ったタイミングで『謎の介入』が入って、ボコボコにされるんだよ。で、何度も、何度も、そういうことを繰り返して……で、相手の手札がつきた時に、ようやく俺に勝機が見えて……それでも、禁止魔カードがどうこうとかで、反則的ないやがらせを受ける。何度も、何度も、ボコボコにされて、『これ、もう無理だろ』……と、誰もが思うところまで堕ちる……」
そこまで口にしたところで、センは、目線の強度を上げて、
「……しかし、けれど、それでも勝つ……という難行を、ずっと繰り返してきたこの俺様に、この程度で関門を名乗れると思うよぉ!」
と、謎の情緒不安定マウントを魅せつける命の王。
だいぶ末期です。
本当にありがとうございました。
★
続けて、センは、五聖や九華(十席以外)と共に、
第二のタワーの攻略に挑んでいた。
三至の時と同じ……いや、それ以上の熱量で過保護ってくる配下たち。
『陛下は下がっていてください。トドメだけお願いします』
という、『出来るだけ体力を温存しておきたいセン』からすると、ぶっちゃけありがたい申し出。
『よきにはからえ』
と、削りの作業を配下に任せて、
自分は安全圏で、ゴリゴリに集中。
最小労力で、最大火力を出そうと画策。
その様子を、センの『中』で見つめている『ヨグ』が、ボソっと、
(いい訓練になっているではないか。配下どもは、強者を削る訓練。貴様は、より洗練された出力形態の形成……各々にとって、『今』、必要な訓練をさせてもらっている。カミノとやらに感謝するといい)
(感謝ぁ? 俺らを太らせて食おうって敵に、一筆添えたお中元でも贈れってか? ナメんなよ)




