34話 一人でできるもん!
34話 一人でできるもん!
(……こいつらの前では、ちょっと呼吸を乱すこともできねぇのか、俺の神生……なんで、こんな、『クソ縛りゲー』みたいなコトになってんだ……ダルすぎるだろ……はぁあ……)
心の中で、深いため息をこぼす。
いい加減、我慢の限界に達したセンは、
「もういい、めんどい!」
そう叫ぶと、
つい数秒前まで大事にしていた『体力温存の観点』をシカトして、
繊細なオーラと魔力のコントロールで、
自分を閉じ込めている空間を支配し、
三至とカンツを、逆に閉じ込めると、
自分だけ、ぺいっと、空間の外に出て、
「俺のワガママを止められる者などいないと知れ! センエースさんは、いつだって自由! 自由だけが、孤高の特権! それすらなくしたら、俺、ほんと、ただの童貞!」
最後に、そう叫ぶと、
そのままの勢いで、
バグを湧き散らかす謎のタワーを消滅させようと飛び込んでいく。
その途中で、
五聖命王の三姉妹に、一方通行のテレパシーで、
『配下の面々は動かすな』と拒絶無視の強硬命令を出すセン。
『自分だけでカタをつけるんだい! 僕なら全部、一人で、できるもん!』という非常にワガママな覚悟を胸に、タワーへと近づくと、
そのまま、
「異次元砲ぉおおおお!」
分かりやすいブッパで、タワーを消滅させようとした。
――が、
「……ちっ……なんとなく、そうじゃねぇかなぁ、とは思っていたが……」
センの『そこそこの異次元砲』が直撃したというのに、
謎のタワーは、無傷でたたずんでいた。
「普通に考えて……バグを放出しているんだから、『無害ゆえに無敵』のアリア・ギアスは通じねぇ……絶対に『無敵の要塞』ってワケじゃねぇ……はずなんだが……」
物質に対して『誰に対しても無害なもの』であるからこそ『破壊されることはない』というアリア・ギアスをくむのは、稀によくあること。
もちろん『絶対に破壊不可能』なものをつくるのは、神の王でも不可能だが、耐久性を爆上がりさせることは可能。
――センですら破壊が難しいもの、というのは、基本的に『無害ゆえに無敵』のアリア・ギアスがこめられているものだが、しかし、目の前のタワーは、そのルートから逸脱している。
「……やべぇなぁ……これは、完全に俺案件だ……」
センが『自分案件』だと認識してしまえば、
もはや、ゼノリカの出番は完全になくなる。
タワーの周囲をグルグルと飛行しながら、
センは、突破方法を探っていく。
その流れの中で、『タワーの内部に侵入できる扉』を発見。
そんな事実を配下に報告したりしたら、絶対に、
『様子見の突入班は天下にやらせてください!』などという、
『セン的には完全に頭おかしい懇願』が飛んでくるのは目に見えているので、
「はい、どーんっっ!!」
『報告・連絡・相談』という、いわゆるホウレンソウのメソッドをガン無視して、
勢いそのままの『ダイナミックお邪魔します』で中へと突入。
「さあ、どこからでもかかってこいや、カスどもぉお! 俺の世界を荒らす気満々のゴミが、生きて帰れると思うなよぉお! 言っておくが、逃げても無駄だぁ! 逃げるヤツは敵ぃい! 逃げないヤツは訓練された敵ぃいいいい! つまり、みなごろぉおおおし!!」




