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24話 センエースを崇拝することが、世界のあるべき姿。


 24話 センエースを崇拝することが、世界のあるべき姿。


「陛下の魂は、永久の輝きを放つ閃光の結晶。たとえ、世界中の全ての命から敬慕を注がれたとしても、何一つ緩むことなく、輝く明日に向けて、尋常ならざる研鑽を続けることでしょう」


 ソレは、カンツの中では、一つの真理。

 たどり着いた人生の答え。


「王よ。尊き最果ての神よ。あなた様の、その高潔さは、眩いばかりに尊いが……しかし、『正当な評価』すら受け止められない、というのでは、あまりに狭量きょうりょうが過ぎるかと」


 カンツは、性格的に『ヨイショ係』には収まれない。

 『イエスマン』になる気はないし、太鼓持ちをする気もない。

 『尊き王のブレない臣下』としての役目を、十全に果たそうとする。


 だから、王が『間違っている時』は、それを全力で正そうと努力をする。


「陛下には、もっと、ドンと構えていてもらわなければ困ります。『センエース神帝陛下こそが、この世で最も尊い御方である』と、『あまねくすべての魂持つ者』が正しく認識し、心に、神帝陛下を抱き、輝く明日に向かって邁進する……それが、世界のあるべき姿。絶対的に正しい世界のありよう。それ以外に、倫理的な完成に至る道はない。これは、絶対の真理」


 狂信。

 まさに、その言葉がふさわしい狂気。


 カンツの『極端すぎる性格』が牙をむく。

 もともとの『エッジが効きすぎている本質』と『センエース至上主義』が調和・同調することで、『カンツの持つ厄介さの深部』が爆裂に膨れ上がる。


 『正義の化身が過ぎる』というカンツの暑苦しさが、

 『センエースの狂信者過ぎる』というヤバさにグレードアップ。


 カンツの、現在における『センエース至上主義理念』の暴走は、実のところ、『かつて、カンツ自身が恐れていたものの一つ』なのだが、しかし、実際にセンを知ったことで、『あれだけ尊い存在を至上と考える思想に間違いはない』という視点になった。

 なってしまった。


 ようするにはタガが外れた。

 もはや、カンツにストッパーは存在しない。

 センエースを崇め奉ることに遠慮はいらないという強い信念。


 カンツの暴走を前にして、

 カドヒトは、


「ふぅぅううううう…………」


 と、『色々な想い』が込められている『深いため息』を、長尺で吐き切ってから、


「真理や完成って言葉を安易に使うなよ、カンツ・ソーヨーシ」


 カドヒトは折れない。

 最初から、『カンツを砕くことの難しさ』を十分に理解した上で、彼は、この席に腰をかけている。

 だから、カンツの『ヤベェ狂信』を魅せつけられても、

 折れることなく前を向き続けることができる。

 覚悟が違うのだよ、覚悟が。


 ――カンツほどの『ヒーローという概念に対する理想が高すぎる男』に、『理想のヒーローとして完璧』とまで思わせたヒーローの底力を、カドヒトは、ここから魅せつける。



「魅せつけるべきは、お前らの背中でいい」



 目に力を込める。

 言葉に想いを乗せる。


 幾億いくおくの絶望と向き合い続けたヒーローの言葉は重さが違う。


「カンツ。お前が、今、言った言葉は、そのまま、お前自身に跳ね返る。ゼノリカは、もっと、ドンと構えておくべきだ。ゼノリカという、世界を背負って働き続けている組織こそが、最も尊く偉大であると胸を張る覚悟が足りない。その狭量さを、民衆は嘆いていると、なぜ気づけない?」



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