19話 ゼノリカがおかしくなった。
19話 ゼノリカがおかしくなった。
「もうダメだ……おしまいだ……」
テンプレが飛び出してはいるものの、
それは、余裕からくるものではなく、
全身全霊の失望と無念からくる慟哭。
センエースの大布教が開始されたことで、
一般民衆は、当然のように、
『ゼノリカがおかしくなった』と震えあがった。
これまで、ずっと、『完全に清廉潔白な最強無欠の世界政府』としての地位を完璧に確立していたゼノリカが、民衆から正気を疑われるようになってきた。
その状況を見たセンは、
『ほら、見た事か。民衆、怖がってんじゃねぇか。というわけで、はい、中止、中止』
と、センさんが、当然の『強制中断』をかけたものの、
しかし、ゼノリカの面々は、まるで、止まることを忘れたイノシシ。
カンツだけではなく、全員が、猪突猛進の暴走機関車になりはて、
ついには、
『神を信仰しない者には罰をあたえる』
と、『絶対に超えちゃいけないライン』を軽々と突破。
これには、流石の身内に甘いセンさんも、
普通に激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームで、
『やめんかい、ボケ、はったおすぞ』と強めの命令を下すものの、
しかし、『カンツ(センエース布教部門代表)』は、歯をむき出しにして、
『神を信じぬ方が悪いのです! 神を信じぬという大罪を、民衆はあまりにも甘く見ている! これは由々しき事態! 神がいなければ、とっくの昔に世界は滅んでいた! 一度や二度ではなく、ずっと! つまり、この世界は、神あっての世界! であるにも関わらず、民衆の99%以上は、その事実すら知らずにのうのうと生きる! 許されるはずがない! 民衆も、神の真なる尊さを知れば、これまで、自分は、どれだけ無知で愚かであったことか、と慟哭の声をあげることでしょう! その感情の果てには、なぜ、ゼノリカは、もっとはやく、神の尊さを教えてくれなかったのだろうか、神の情報を囲って独り占めにしていたのか、と憤慨し、むしろ、ゼノリカに対する信頼の崩壊につながるでしょう! それもまた由々しき事態! つまりはぁ! 民衆には知る権利と、知る義務があるのです! わかりますか、主よ! 分かったなら、玉座でお待ちを! 神を信じぬ者を、ちょいと、ブン殴ってきますゆえ! もちろん、閃拳でかましてやりますよ! ワシも、朝昼晩、それぞれ1万回、感謝の閃拳突きをはじめましてねぇ。ワシの閃拳は、主の足元にも及びませんが、愚民の目を覚まさせることぐらいは出来ると信じておりまする!』
と、真っ向からマシンガン反論。
バッキバキの目でやべぇことを叫び続ける修羅。
暴走機関車モードになったカンツに話は通じない。
何を言っても、信念のこもったマシンガントークで強引に論破してくる。
センも、最初は、どうにか、持ち前のトーク力で対応しようとしていたのだが、センエースの、世界をケムにまく必殺技『ファントムトーク』にとって、『信念のマシンガン』は天敵。
ただのマシンガントークが相手なら、高速シザースからの股抜きのようなファントムで強引に突破していくのだが、ファールも恐れない信念マシンガンが相手だと、襟首掴まれて、引きずりまわされて叩き潰されてしまう。




