15話 センエースか困るかどうかなど知らん! センエースが愛される方が億倍大事!
15話 センエースか困るかどうかなど知らん! センエースが愛される方が億倍大事!
数日に及ぶ会議で、『ある程度の方向性』が、ようやくかたまる。
その全体像を、とりあえず、一言で言えば、『ゼノリカが一丸となって、全力で、センエース神帝陛下の威を広める。手段は択ばない。神を理解させるためなら、何をしてもいい』というものである。
ゴリゴリの爆裂に『真・神法に違反している議決』だが、今のゼノリカにとって、『センエースの慎み深さ』は、配慮の領域外。
センエースという神が、謙虚さの塊であることは、センエースの核に触れたことで、よくわかった。
ならば、バキバキに忖度するのが、配下の役目!
――と、しっかり、暴走による誤解をした配下たちは、
センエースを世界に広めるために決死の覚悟を決めた。
センエース当人からすれば、はなはだ迷惑な話!
けど、知ったこっちゃない!
センエースが困るかどうかなど!
それよりも、センエースが、世界中の、あるとあらゆる全ての生命から、正式に崇拝される方が大事!
配下たちは、もう、止まらない!
★
後ほど、そんな会議が開かれ、とんでもない終着点に辿り着いたという話を聞いた、噂のセンさんは、とりま、今回の議題の責任者を呼び出した。
議長を務めたカンツが、センの前にくるまで、
アダムやミシャが、『拝謁の儀式』がどうこうと、やかましかったが、
ガチ切れ顔による『騒々しい、静かにせよ』の一言で黙らせて、
どうにか、カンツとの対談を成立させることに成功。
そして、今、
創玄神層の桜花堂にて、
小さな太陽に座するセンの前で、
カンツは、厳かに片膝をついている。
「めんどくせぇわぁ……とにかく、全部……」
最初に、センは、ただの本音を口にした。
イライラ顔で、
「もう、いいから、顔を上げようか」
と、命じるが、しかし、カンツは顔を上げない。
3回は言われないと顔を上げてはいけないのである。
それが、神帝陛下の前でのマナー。
「マジで、もういいから! ていうか、俺、一度でも言った? 平伏してほしいとか! いらないんだよ! もう、めんどい! マジで! 俺にとっては、マジで、いやがらせでしかないんだよ、その過剰忠誠!」
ゴリゴリの怒りが降り注ぐが、しかし、それでも、カンツはマナーを遵守した。
三至以下が相手の場合、ここまでの礼儀は尽くさない。
カンツが、これだけの、絶対的な礼儀を尽くすのは、センエース神帝陛下だけ。
「……か、顔をあげてください。お願いします」
ダルそうに、三回目の命令を下すと、
ようやく、カンツは顔をあげて、センの顔を見る。
センさんは、今、『心底ダルそうな顔をしている顔面偏差値48のニーチャン』でしかないが、しかし、狂信者であるカンツの目には、この世で最も尊く輝く光の結晶に見える。
「ああ、尊き神よ。その無上なる玉顔の拝謁を許していただけましたこと、心より感謝を――」
「うるさぁああい!」
センは、バチギレ顔で、
「もういいと言っとろうが! 儀礼だの、伝統だの、マナーだの……そんなもんは、俺以外の神にやればいい。俺にはいらん。俺はただの、どこにでもいる、元平均的一般男子高校生の転生者にすぎん!」
「それは無理がありまする」
「ねぇよ。なんも。無理なんて。だって、ただの事実だもん!」




