表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
598/1228

15話 センエースか困るかどうかなど知らん! センエースが愛される方が億倍大事!


 15話 センエースか困るかどうかなど知らん! センエースが愛される方が億倍大事!


 数日に及ぶ会議で、『ある程度の方向性』が、ようやくかたまる。

 その全体像を、とりあえず、一言で言えば、『ゼノリカが一丸となって、全力で、センエース神帝陛下の威を広める。手段は択ばない。神を理解させるためなら、何をしてもいい』というものである。

 ゴリゴリの爆裂に『真・神法に違反している議決』だが、今のゼノリカにとって、『センエースの慎み深さ』は、配慮の領域外。


 センエースという神が、謙虚さの塊であることは、センエースの核に触れたことで、よくわかった。

 ならば、バキバキに忖度そんたくするのが、配下の役目!

 ――と、しっかり、暴走による誤解をした配下たちは、

 センエースを世界に広めるために決死の覚悟を決めた。

 センエース当人からすれば、はなはだ迷惑な話!

 けど、知ったこっちゃない!

 センエースが困るかどうかなど!

 それよりも、センエースが、世界中の、あるとあらゆる全ての生命から、正式に崇拝される方が大事!

 配下たちは、もう、止まらない!



 ★



 後ほど、そんな会議が開かれ、とんでもない終着点に辿り着いたという話を聞いた、噂のセンさんは、とりま、今回の議題の責任者を呼び出した。


 議長を務めたカンツが、センの前にくるまで、

 アダムやミシャが、『拝謁の儀式』がどうこうと、やかましかったが、

 ガチ切れ顔による『騒々しい、静かにせよ』の一言で黙らせて、

 どうにか、カンツとの対談を成立させることに成功。


 そして、今、

 創玄神層の桜花堂にて、

 小さな太陽に座するセンの前で、

 カンツは、厳かに片膝をついている。


「めんどくせぇわぁ……とにかく、全部……」


 最初に、センは、ただの本音を口にした。

 イライラ顔で、


「もう、いいから、顔を上げようか」


 と、命じるが、しかし、カンツは顔を上げない。

 3回は言われないと顔を上げてはいけないのである。

 それが、神帝陛下の前でのマナー。


「マジで、もういいから! ていうか、俺、一度でも言った? 平伏してほしいとか! いらないんだよ! もう、めんどい! マジで! 俺にとっては、マジで、いやがらせでしかないんだよ、その過剰忠誠!」


 ゴリゴリの怒りが降り注ぐが、しかし、それでも、カンツはマナーを遵守した。

 三至以下が相手の場合、ここまでの礼儀は尽くさない。

 カンツが、これだけの、絶対的な礼儀を尽くすのは、センエース神帝陛下だけ。


「……か、顔をあげてください。お願いします」


 ダルそうに、三回目の命令を下すと、

 ようやく、カンツは顔をあげて、センの顔を見る。


 センさんは、今、『心底ダルそうな顔をしている顔面偏差値48のニーチャン』でしかないが、しかし、狂信者であるカンツの目には、この世で最も尊く輝く光の結晶に見える。


「ああ、尊き神よ。その無上なる玉顔の拝謁を許していただけましたこと、心より感謝を――」


「うるさぁああい!」


 センは、バチギレ顔で、


「もういいと言っとろうが! 儀礼だの、伝統だの、マナーだの……そんなもんは、俺以外の神にやればいい。俺にはいらん。俺はただの、どこにでもいる、元平均的一般男子高校生の転生者にすぎん!」


「それは無理がありまする」


「ねぇよ。なんも。無理なんて。だって、ただの事実だもん!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ