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14話 ゼノリカが抱えている問題点の一部。


 14話 ゼノリカが抱えている問題点の一部。


 『センエースを知ること』が、『この世界で生きる者』の『最低限おさえておかなければいけない教養』であると熱く議論が交わされ、その感情論に対して、反対意見が一切出てこないというラリった鉄火場。

 議論の方向性は固まっているが、濃いメンバーばかりなので、それぞれが、固有の熱い想いを胸に抱いており、それらの想い全てを完璧に結束させるのはむずかしい。


 議論が熱をおびすぎるたびに、一応、

『そのケンカは、センエース神帝陛下が望んでいるものなのか?』という、『ヒートアップしすぎていること』そのものに対するストッパーは入ったりしている。

 ただし、議論の内容に関してのストッパーは存在しない。

 みな、全力で『センエース愛』を、これでもか、と前面に押し出していき、それを、議場は際限なく受け止めていく。


 ヒートアップして、『センエースの名』で少しだけ鎮まって、

 また、ヒートアップしては、『センエースの名』で少しだけ鎮まって……

 という流れを延々に繰り返す、バーニングエンドレスワルツな会議。


 そんな惨劇を見守っているアモンが、ふと、


(これ、陛下がいなかったら、ゼノリカ、いつか、どっかで瓦解するんじゃね?)


 と、『ゼノリカが抱えている問題点』の一部に気づく。

 有能&個性が強すぎるファンキーなキチ○イたちが、『支え』なしで、『高次の組織』を形成し続けることは不可能。


 今、ゼノリカの神族たちは、『センエースが存在するからこそヒートアップしているわけ』だが、しかし、センエースに関する議論以外でも、例えば、世界の安寧にかかわる超重大問題が発生した際に、もし『センエース』がいなければ、これだけ、思考の方向性が違う者の集まりが、『最終的な着地点』に帰結できるようには到底思えない。


 最後の最後には『一つの方向性』に話をまとめないといけないのが政治の本質。

 それは、すなわち、『たった一つ』以外の意見が排斥はいせきされるということ。

 つまりは、『常に排斥され続ける側の意見を持つ者』も、事実として、存在しうるということ。

 その者の不満が爆発して、その爆発が連鎖する、ということもありえるのが世の常。


 歴史を見ると、そうやって滅んだ国は山ほど存在する。

 センエースという『絶対的な支柱』がなければ、ゼノリカとて、その運命から逃れる術はない。

 『理性の獣』みたいな高潔極まりない連中の集まりなので、秒で崩壊するということはないだろう――が、センエースがいなくなれば、確実に、間違いなく、遠い未来の話になるとしても、いつかは絶対に、100%の確率で、ゼノリカは崩壊する。



 会議は踊りに踊った。

 数日に及ぶ会議で、『ある程度の方向性』が、ようやくかたまる。

 色々と細かいことまで決められたわけだが、

 その全体像を、とりあえず、一言で言えば、

 『ゼノリカが一丸となって、全力で、センエース神帝陛下の威を広める。手段は択ばない。神を理解させるためなら、何をしてもいい』

 というものである。


 ゴリゴリの爆裂に『真・神法に違反している議決』だが、

 今のゼノリカにとって、『センエースの慎み深さ』は、配慮の領域外。





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