表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

592/1228

9話 この上なく尊き命の王、センエース神帝陛下の偉業を、全世界に、正しく伝えるべき! その行動に対し、当の神がどう思うか? 知らぁあああん!!


 9話 この上なく尊き命の王、センエース神帝陛下の偉業を、全世界に、正しく伝えるべき! その行動に対し、当の神がどう思うか? 知らぁあああん!!


「アモン! 演壇に上がり、今回の議題を叫べ!」


「はっ!」


 命じられたアモンは、10歳前後の子供とは思えない丁寧な所作で演壇へと上がっていく。

 進行上の、いくつかの様式は排除しているが、しかし、最低限の流れは守る様子。

 ここで、アモンが演壇に上がり、議題を並べることに関しては事前に決まっていた。


 だいぶ、簡略はしてきているが、しかし、最低限の『会議のための会議』はやってきているのである。


 演壇に上がったアモンは、

 一度、小さくセキをしてから、

 議場の面々、諸先輩方に向かって、

 まっすぐに、胸を張って、堂々と、


「世界は、神を知らない」


 と、事前に叩き込まれた内容をそらんじていく。


「あってはならないことだ」


 定められた文章を並べているだけ――だが、

 『そこに込められている想い』は本物。

 決して、ただ、音読しているだけではない。

 だから、声には熱が帯びる。

 感情がむき出しになる。

 表情一つとっても、本気であると理解できる狂信の覇気。


「この上なく尊き命の王、センエース神帝陛下の偉業を、全世界に、正しく伝えるべきだと僕は思う!」


 そう叫びながら、アモンは、『聖典』を取り出して、


「ここに書かれていることは、あまりにも、薄っぺらい! こんなものではない! こんなものではないのだ! 神の偉業は! その尊さは!」


 熱が加速する。

 想いが暴走する。


「僕は見た! 感じた! 命を与えてもらった! 僕の魂の中には、陛下の命の一部が刻み込まれている! ほかの誰に、同じマネができるであろう! 何十億年、何百億年という年月をかけて、弱い命を守るために武を磨き続けることが! その磨き上げた命を盾にして、世界を守り続けるという献身が! ほかの誰にできるだろう! 不可能!」


 事前に決まった演説ではあるが、

 しかし、間違いなく、ただの言葉ではなかった。

 誰が耳にしたとしても、アモンの言葉を、想いを、空っぽのハリボテだと思うものはいないだろう。


「あまつさえ、陛下は! その全てをなげうって、我々に命を奉げてくれた! 陛下を死なせるわけにはいかないと、我々は、一致団結し、陛下に命をお返しした! だからこそ、陛下は生きておいでだが、もし、我々の覚悟と力が足りなければ、陛下は、あのままお亡くなりになっていた! 僕は、コスモゾーンに触れ、陛下の芯を知った! 陛下は、我々を生かすためであれば、完全なる死をも享受するという、本物の覚悟を掲げておられた! 命に対する、その大いなる献身は! まさに、『すべての命の頂点』! 陛下の存在を疑うことはおろか、もはや、陛下が、『この上なく尊き命の王であること』を疑う余地すらない! 陛下こそが至上! 最上の神! 並ぶ者が存在しない、絶対の頂点! だが、その事実を! その現実を! その摂理を! 世界は知らないっっ!!」


 勢いあまって、演壇をガツンとぶん殴るアモン。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ