8話 本来ならば、ウザすぎる前提が必要な神族会議。
8話 本来ならば、ウザすぎる前提が必要な神族会議。
神の高潔さ・謙虚さに、いちいち付き合っていたら、祈りのひとつも捧げられない――という、その『深い部分の理解』にも届いている神族たちは、まるで『カワイイ一人息子のために命を奉げると誓った過保護な母親』のように、『神(息子)』がどう思っているかなど完全シカトの構えで、『自分たちが神にとって必要だと思う事』だけを、率先して行うヤバい修羅と化している。
ありがた迷惑なんのその!
ゼノリカの狂信を止める方法はない!
――話を戻すが、
今後の第二~第九アルファにとって、
何よりも大事な議題は、神族たちにとって、たった一つしかない。
「それでは、さっそくだが、神族会議をはじめよう。長ったらしい儀礼云々など、今回は全省略だ。栄えあるゼノリカの天上、九華十傑の第十席序列十四位、カンツ・ソーヨーシの名の下に、今回の会議の開始を告げる」
本来であれば、神族会議は、山のような儀礼を経た上で、とことん厳かに行われるもの。
沙良想衆の中に、神族会議を取り扱う『神族会議委員会』が存在し、委員会は、誰をどれだけ集めるか、という段階から、奔走することになるのが通例。
塔最下層の中腹にある『特別会議場』にて、九華以上の神族が主宰して開会式を行う。
なお、開会式の日時は、沙良想衆のアンドロメダと、『議長を務める九華に属する者』が協議して定めるものとされており、その『会議の日程を決めるための会議』にも、数日を用いるのが通例。
当たり前だが、一般人の傍聴など一切不可。
『会議のための会議のための会議』の段階から、
とことん厳粛に、最上位の儀礼をもって行われる。
開会式前には、集められたすべての神族、および天下の配下たちが、特別会議場の正門前に起立・整列し、議長の出迎えをするのが恒例となっている。
参列者が起立する中で、議長が厳かに入場し、演壇へと続く階段を登り、神族会議委員長が、議場に向かって、クッソ長い式辞を述べたあと、議長から議場に向かって最初の挨拶を述べる。
その挨拶の内容も、事前の会議で厳粛に内容が決められており、もし、間違ったり噛んだりした場合、信用を失ったりもする。
その後も、まだまだ必要儀礼は存在し、それらの厳粛に定められた式典を終えたあとで、ようやく、会議が始まる――というのが、本来の神族会議だが、今回は、そういうまどろっこしいことを、全部除外した。
カンツを議長に据えているのは、そういうところに意図がある。
『儀礼を全部すっ飛ばす』というのは、精神衛生的に、なかなかしんどいところがあるのだが、心臓に剛毛が生えているカンツの場合は別。
ほかのメンツでは出来ないことを平然とやってのける。
そこに痺れて憧れる他の面々。
「アモン! 演壇に上がり、今回の議題を叫べ!」
「はっ!」
命じられたアモンは、10歳前後の子供とは思えない丁寧な所作で演壇へと上がっていく。
進行上の、いくつかの様式は排除しているが、しかし、最低限の流れは守る様子。
ここで、アモンが演壇に上がり、議題を並べることに関しては事前に決まっていた。




