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59話 実家のような安心感。


 59話 実家のような安心感。



 ――センの中で、なにかが外れた。



 声にもならない衝動の中で、

 センのオーラが、異質に、混沌に、変化していく。

 そんな、さなか――

 時が止まった。

 そして、



 センの脳内に、いつもの声が響いた。



『シューリ・スピリット・アース・ソルウィングの死亡を確認。センエース。貴様に選択肢を与える。ナイトメアソウルゲートを【永遠に閉じる】か……それとも……【10億年モードに切り替える】か』


「……」


『もし、10億年モードに切り替えるのであれば、足りていない36億年分を、今、この場で清算してもらう』


「……意味がわからん。俺は頭が悪いんだ。もっと丁寧に言ってくれ」


『貴様は、これまで、4回、ナイトメアソウルゲートを使って、4億年分を消化してきたが、10億年モードに切り替えるのであれば、その4回分も10億年モードに切り替わる。40億から4億を引いて、36億年……これを清算しなければ、10億年モードに切り替えることはできない』


「……要するに、今すぐ、36億年分修行できるってことか……最初からそういえ。そうすれば、話は早かった」


 そこで、センは、ギリっと奥歯をかみしめ、


「さっさと、俺を『実家ナイトメアソウルゲート』へ送れ。36億年あれば、アダムをどうにかする方法も見つかるだろうし、シューリを蘇生させる秘術もマスターできるだろう。切り札を閉じるなんて冗談じゃねぇ」


『了解した。これより、ナイトメアソウルゲートを10億年モードに切り替える。これから、死ぬまで、貴様は、毎日、10億年間修業しなければいけない』


「そんなことはどうでもいいから、さっさと送れ、ボケ」






 ★






 ――アダムが、シューリを殺した直後のこと。


「……ん? まさか……また?」


 アダムは、『センの気配』に『大きな変化』が起きたことに気づいた。


「一日一回じゃなかったのか?」


 と、アダムは、センに言葉を投げかけた。


 しかし、センは、アダムの言葉をシカトして、


「……よかった……まだ、魂は、コスモゾーンに回収されていない……これなら、余裕で蘇生できる……」


 などと、ぶつぶつ言っている。


「おい、聞いているのか、センエース」


「黙ってろ、三下。てめぇは、あとで、瞬殺してやる。おとなしくしていろ」


「……はぁ?」


 ちゃんとイラっとしたアダムは、

 右手をセンに向けて、


「ナメたことぬかすな、ザコガキが。――異次元砲」


 シューリを吹っ飛ばしたソレより遥かに威力の高い異次元砲でセンを吹っ飛ばそうとした。

 しかし、その一撃を、センは、






 ――片手で、軽く、

 ――パシンと、

 ――弾き飛ばしてしまった。






「はぁあ?!」


 目をひんむいて驚くアダム。


(な、なんだ? また大道芸か? いや、大道芸は大道芸でも、今までのソレとは、あきらかに性質が違う……)


 不可思議な事態に困惑しているアダム。

 そんな彼女を完璧にシカトして、

 センは、


「……見つけた。シューリ、お前は魂も美しい。……あとは……いったん、器に保存して……それから、肉体を再生……いや、そっちは、あとだな。まずは……」



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― 新着の感想 ―
実家のような安心感というタイトルが、 この絶望的な状況でのセンのブレない覚悟と修行への、 狂気的な向き合い方を完璧に表していて、 本当に痺れました!
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