27話 闘う時期と戦う相手が悪すぎた。
27話 闘う時期と戦う相手が悪すぎた。
『すべてうまくいく』は無崎の最大の武器ではない。
あくまでも、『無崎』という化け物が誇る怪物性の一部でしかない。
超苺は、無崎の怪物性の全てを引き出せるわけではない。
あくまでも、『すべてうまくいく』が搭載されているだけ。
将来的にどうなるかは分からないが、少なくとも、今の超苺が相手なら、カミノは十分に圧倒できる。
無崎ほどの超人性は有していないが、カミノも、『才能』という点だけなら、十分に溜めを張れるほどのバケモノ。
この世界の全てを盤上にみたてて、視野を広く、全てを支配できるカミノにとって、汎用性ブッパの『原初のイタズラ』は強大な武器。
『覚醒カミノ』×『原初のイタズラ』――この組み合わせは、なかなかエゲつない。
「………………ぐっ」
超苺は追い詰められていく。
存在値の数字的には、実のところ、拮抗している。
カミノも、まだまだ目覚めたばかり。
だから、まだ、拮抗している。
しかし、超苺との戦闘の中でも、カミノはどんどん成長していく。
「1000億年を積んできた記憶……完全に取り戻したわけじゃないが……事実、俺は、センエースの修行に、1000億年も付き合わされてきた……」
前提を口にしてから、
カミノは、ニっと笑い、
「ナメるなよ、スーパージェントルマン。俺が積んできた地獄が、お前に負けるビジョンは描けねぇ」
そのまま、カミノは、超苺を圧倒していく。
超苺も、非常に優れた武を魅せつけてきた。
パーフェクトコールに届いた器は、やはりただ者ではない。
魂魄の奥に、元主人公を飼っているというのも大きな要因の一つ。
かなりの強さだった。
超苺に、運命力で優る者はそうそういない。
超苺の無敵ぶりは、事実、ハンパじゃない。
元主人公の中でも最強格と名高い『無崎の因子』は伊達じゃない。
その一部だけしか顕現していない、というと聞こえは悪いが、
超苺は、事実、『無崎の一部』を引き出している化け物なのだ。
無崎を内に飼っている超苺はとんでもない資質の持ち主。
それは間違いなく事実!
絶対の真実!
――なのだが、さすがに、闘う時期と戦う相手が悪すぎた。
「……神威次元砲」
丁寧に崩されて、周到に壊されて、丹念に潰された。
「……………うぐ……うぼぇ……」
ボロボロで地に伏す超苺。
※ 『無崎のフラグメント』は、凶悪な性能を誇るチートなのだが、あまりに破格すぎるため、可能性を引き出すことが非常に難しい。超苺は、かなり適合している方だが、しかし、それでも、『無崎』の『本当のスペック』の『0,000001%』も引き出せていない。本来のスペックを発揮できていれば、カミノでも、さすがにムザキに勝利することは不可能。
カミノに完全敗北した超苺は、
澄んだ目で、カミノを見つめて、
「………………俺の中にいる……女の子たちには……手を出すな……」
まっすぐな言葉で牽制を入れていく。
取り繕うことも、照れ隠しをすることもない。
そんな余裕はない。
面倒くさいからと口を紡ぐことも、この時ばかりはありえない。
『必死』が詰まった『まっすぐな言葉』しか使えない。
だからこそ、その目に濁りはなかった。




