25話 カミノをナメてはいけない。
25話 カミノをナメてはいけない。
そこで、影から、トコが出てきて、
「ちなみに、それを私に邪魔される――とは考えなかったのか?」
表情が明らかにいつもと違っていた。
『普段は人格を消して奥に潜んでいるクロート』が、今は、トコのマテリアルの前面に出てきている。
普段は、トコに浸食されているクロートだが、
『緊急事態』であるがゆえに、強制的な意識の切り替えが起こった。
これが、ヌル側の切り札的な措置。
万が一に対処する臆病さ、慎重さ、抜け目なさ。
そんなクロートの臨戦態勢に呼応するように、
セイラの中にいる超苺も前面に出てきて、武を構える。
クロートは、
超苺に目線を送り、
「超苺! サポートする! カミノを殺してくれ! ここまで成長すれば十分。フラグメントだけ奪い取って、陛下に献上する」
超苺は、コクリと頷くと、
一気にオーラと魔力を練り上げる。
最初に、サポート役のクロートが、
「究極超神化7!!」
簡易版の7に変身して、『カミノとやりあうための下地』をつくった。
そして、流れのままに突撃。
センエースを退けた化け物相手に奮戦。
クロートは、どうにか搦め手や鬼手を駆使して、
カミノを押し込もうとする。
その隙をついて、
超苺は、練り上げたオーラをシッカリと昇華させていく。
クロートは、まだまだ簡易版にしか変身できないが、
1000億年のなかで、セイバーリッチ(ザラキエリ)となじんだ超苺は、
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「――/\**【【究極超神化7】】**/\――」
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ついに、パーフェクトコールへと届く。
盛大に、精緻に、美しく整っていく超苺。
究極超神化7のクロートと、
究極超神化7パーフェクトコールの超苺というコンビネーション。
存在値、戦闘力、共に化け物で、
敵対するのはあまりにも愚かしい相手。
そんな化け物二人を相手に、カミノは、
「お前ら相手に置き碁で二面打ちするよりも、センエース単騎との互先の方がはるかにしんどかったよ」
軽い言葉を並べてから、
サラサラと、流水のように、二人の攻撃をいなしていく。
「元主人公の固有神化をナメるなよ、ハンパな闘神ども。お前らの親玉であるヌルや、お前らの『元』の親玉である『寿司邪神』あたりに出てこられたら、さすがに、俺も、泡を吹いて倒れるしかないが……お前らだけの対処なら、まだ完全体じゃない俺でも、どうとでもなる」
そうつぶやきつつ、
カミノは、まず、クロートをからめとっていく。
カミノは、セイラに対して『説明』を始めたあたりから、
すでに、無数のワナを張っていた。
彼女の中にクロートが潜んでいることも、
ヌルに対する敵意を示せば出てくることも全て読めていた。
――覚醒したカミノはキレッキレで、
その精度は、クロートごときに対応できる器ではなかった。
「ぐっ!」
無詠唱かつ、設置型で仕込まれていたEZZパニッシャーに捕縛されるクロート。
ほとんど何もできないまま、あっさりとノックアウトをくらう。




