18話 起承転結の転だけを円とする。
18話 起承転結の転だけを円とする。
センは、繰り返した。死闘を。命を賭けた地獄を。徹底的に、何度も、何度も、何度も。
これまでの積み重ねてをブン回して、『苛烈な今』と、真摯に向き合う。
そうやって生きてきて、これからも、そうやって生きていく。
――激烈な数時間が経過したところで、
センは、
「はぁ、はぁ、はぁ……よし……1万……」
最初の目標に到達。
ボロボロで、フラフラ。
けれど、目だけは澄んで燃えている。
もう、とっくの昔に限界を超えていて、
肉体の防衛本能が『もう、やめてセン! とっくに、あなたのライフはゼロよ』と叫んでいるが、そんなことは知ったこっちゃないとばかりに、
「よし……次ぃ……」
ラリった目で未来を見つめている。
決してゆるぎない覚悟。
精神の不死種。
センは止まらない。
理想のトゥルーエンドにたどりつくまで。
★
さらに『数時間の積み重ね』を経て、
さすがに、体が動かなくなったところで、
這うようにして、『秘密の部屋』を後にしたセン。
外に出て、センの視界に飛び込んできたのは、
「……ぇ……」
山盛りの死体。
顔なじみが大勢。
知らない顔も混じっているが、
その死体の山に重ねられているのは、
この世界におけるセンエースの知人。
ミシャやドーキガンやゾメガ、
リグ、ラーバ、カルシィ、エーパ、ドコス、
モナルッポ、キッツ、
他にも、聖龍王国ふくむ各国の要人・強者……
この世界における存在値の上位者が、
全員、殺されて、山積みにされていた。
「……」
あまりに突然かつ、ありえない状況に呆けていると、
その死体の影から、
「……念には念を……こいつらの誰かが覚醒して、お前に手を貸すという可能性を殺した。こいつらは正直、弱いけど……器だけなら、なかなかのヤツらが何人かいる。器をもっていないやつでも、突然変異の覚醒を決め込んでくるやつもいるかもしれない。ゴミ全部を掃除する暇はなかったから、とりあえず、そこそこの奴らだけ、全部狩ってきた」
カミノは、感情のないロボットみたいな目で、
「あとは、お前だけ。センエース……お前を、この世界から退場させて……それで、全部を終わらせる。ちなみに言っておくが、もう、タイムリープはさせない。銀の鍵を掲げて宣言する余裕なんて絶対に与えない」
「……な、なんで、記憶があるんだよ……銀の鍵のループで記憶を維持できるのは俺だけ……この1000億年、ずっとそうだった……なのに、なんで、今回だけ……お前も……」
「1000億年の積み重ねがあるのはお前だけじゃないんだよ、センエース」
カミノは、さらに、たんたんと、
「お前と殺し合い続けた時間の中で、俺も、自分にできることを必死に模索してきた。無限にリトライコンテニューをかましてくる『クソイカレゾンビ』相手に勝つ方法を必死になって考えた。俺はゲームの敵キャラじゃないんでね。お前が俺を殺せるようになるまで、黙って待ってやったりしねぇ。……必死になって、毎回、毎回、ちょっとずつ、ちょっとずつ、積み重ねてきて……ようやく、今日に辿り着いた……ここで、お前を、この世界から除外する」




