表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
570/1228

18話 起承転結の転だけを円とする。


 18話 起承転結の転だけを円とする。


 センは、繰り返した。死闘を。命を賭けた地獄を。徹底的に、何度も、何度も、何度も。

 これまでの積み重ねてをブン回して、『苛烈な今』と、真摯に向き合う。

 そうやって生きてきて、これからも、そうやって生きていく。


 ――激烈な数時間が経過したところで、

 センは、


「はぁ、はぁ、はぁ……よし……1万……」


 最初の目標に到達。

 ボロボロで、フラフラ。

 けれど、目だけは澄んで燃えている。

 もう、とっくの昔に限界を超えていて、

 肉体の防衛本能が『もう、やめてセン! とっくに、あなたのライフはゼロよ』と叫んでいるが、そんなことは知ったこっちゃないとばかりに、


「よし……次ぃ……」


 ラリった目で未来を見つめている。

 決してゆるぎない覚悟。

 精神の不死種。


 センは止まらない。

 理想のトゥルーエンドにたどりつくまで。




 ★




 さらに『数時間の積み重ね』を経て、

 さすがに、体が動かなくなったところで、

 這うようにして、『秘密の部屋』を後にしたセン。


 外に出て、センの視界に飛び込んできたのは、




「……ぇ……」




 山盛りの死体。

 顔なじみが大勢。

 知らない顔も混じっているが、

 その死体の山に重ねられているのは、

 この世界におけるセンエースの知人。


 ミシャやドーキガンやゾメガ、

 リグ、ラーバ、カルシィ、エーパ、ドコス、

 モナルッポ、キッツ、

 他にも、聖龍王国ふくむ各国の要人・強者……

 この世界における存在値の上位者が、

 全員、殺されて、山積みにされていた。



「……」



 あまりに突然かつ、ありえない状況に呆けていると、

 その死体の影から、


「……念には念を……こいつらの誰かが覚醒して、お前に手を貸すという可能性を殺した。こいつらは正直、弱いけど……器だけなら、なかなかのヤツらが何人かいる。器をもっていないやつでも、突然変異の覚醒を決め込んでくるやつもいるかもしれない。ゴミ全部を掃除する暇はなかったから、とりあえず、そこそこの奴らだけ、全部狩ってきた」


 カミノは、感情のないロボットみたいな目で、


「あとは、お前だけ。センエース……お前を、この世界から退場させて……それで、全部を終わらせる。ちなみに言っておくが、もう、タイムリープはさせない。銀の鍵を掲げて宣言する余裕なんて絶対に与えない」


「……な、なんで、記憶があるんだよ……銀の鍵のループで記憶を維持できるのは俺だけ……この1000億年、ずっとそうだった……なのに、なんで、今回だけ……お前も……」


「1000億年の積み重ねがあるのはお前だけじゃないんだよ、センエース」


 カミノは、さらに、たんたんと、


「お前と殺し合い続けた時間の中で、俺も、自分にできることを必死に模索してきた。無限にリトライコンテニューをかましてくる『クソイカレゾンビ』相手に勝つ方法を必死になって考えた。俺はゲームの敵キャラじゃないんでね。お前が俺を殺せるようになるまで、黙って待ってやったりしねぇ。……必死になって、毎回、毎回、ちょっとずつ、ちょっとずつ、積み重ねてきて……ようやく、今日に辿り着いた……ここで、お前を、この世界から除外する」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ