13話 本当に時間は無限かな?
13話 本当に時間は無限かな?
「絶対に殺してやる……覚悟しとけ、ボケが…………俺はまだ……頑張れる……っ」
キーコードを音声入力。
その瞬間、センの視界が歪んで滲む。
グルグルと視界が混ざって、溶けて――
★
――気が付いた時、
センは、学園に存在する『秘密の部屋』の『地下1階』で、
『銀の鍵』を握りしめていた。
意識を完全に取り戻したセンは、
『過去に戻った』という点に関しては、
昼下がりのティーブレイク扱いで、雑に流して、
「……カミノが、ガチでオメガバスティオンを使えるとなると、マジでしんどいな……さて、どう対処するかな……」
などと、ブツブツ、カミノ対策を考えつつ、
奥にある階段に向かう。
そこそこ長い階段を降りつつ、地下2階に向かいながら、
センは、一応、自分のステータスも確認する。
「EX-GODレベル……また1に戻ったぁ……これが、本当にウザいんだよなぁ、もう……せっかく505兆まで上げたのに……」
ほとんど毎回のように、同じ愚痴をこぼしているセン。
楽しい事に飽きる速度ははやいのに、『不満に対して愚痴をこぼす』ということに対しては、まったく飽きることがない――それもまた、人間が有する厄介な特徴の一つ。
「……『オメガを使ってくる天才凶神』に、『500兆台ていどの力』で挑むのは、さすがに愚策かなぁ……こりゃ、また、地道なボーナス稼ぎ作業をしないといけねぇかなぁ……」
ぶつぶつと、これからの事について考えながら、
今回獲得した『505兆分のタイムリープボーナス』を振り分けていく。
最初に、カミノと殺し合った際に覚醒した力『EX-GODレベル』は、センの『全て』を『自由に補強できる』という非常に優れた追加システム。
タイムリープをすると、1に戻ってしまうのが難点だが、タイムリープする前に上げたレベル分、『タイムリープボーナス』というのが付与されるのが特徴の一つ。
タイムリープボーナスによる可能性の上昇率は、そこまで高くないのだが、
『1000億年分』も稼いできたので、
膨大な次元には達している。
「さて……と……とりあえず、今日中に、EX-GODレベル『10万』にまでは到達したいねぇ」
などとつぶやきつつ、地下二階に降りてきたセン。
そこは、限定空間の魔法で展開されるような、
真っ白な空間だった。
サイズは、東京ドーム級と、かなり広め。
その空間に足を踏み入れると同時、
『難易度は?』
と、謎の声が響き渡る。
慣れ切っているセンは、流れるように、
「その前に、『地獄天8』をアンロックするために必要なボーナスはどのぐらいだっけ?」
『地獄天8のアンロックにかかるタイムリープボーナスは、7200兆』
「……あれ、7000じゃなかったっけ? ……しくった……たりねぇ……アンロック分を確認してから、ステに振ればよかった……ちっ……あー、まあ、いいや。どうせ、ここから、『稼ぎ』の『無限周回』に入るし。アンロックは、次回のタイムリープ時でいい。どうせ、時間は無限にあるし」




