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12話 銀の鍵を使ったあとの世界線。


 12話 銀の鍵を使ったあとの世界線。


「絶対に殺してやる……覚悟しとけ、ボケが…………俺はまだ……頑張れる……っ」


 キーコードを音声入力。

 その瞬間、センの視界が歪んで滲む。

 グルグルと視界が混ざって、溶けて――


 ――その様子を、はたから見ているカミノ。

 カミノの視点では、特に何か変化が起こったようには見えない。

 センが銀の鍵を掲げて、頑張れると宣言しただけで、特に何も起こってはいない。


 数秒後、カミノの視界の先で、

 意識に取り残されたセンは、


「……ん? あれ? なんで、戻らない? 失敗した?! うそだろ?! いままで、失敗したことなんて一度もないのに、ここで、失敗するのか?! ふざけんなよ、くそったれが! え、まじで?!」


 と、盛大にあたふたしながら、疑問符を叫ぶ。


 そんなセンに、カミノは、


「……いや、タイムリープは成功している。お前の記憶の完全コピーは、問題なく、過去に送られた。そして、また世界は分岐する。過去と未来が新しく作り直される。ちなみに言っておくと、お前がタイムリープしたからって、この世界が消えるわけじゃないし、ここにいる『お前』が溶けてなくなるわけでもない。あくまでも、記憶の『コピー』を送っただけ。取り残された俺たちは、その後も、この世界で命をまっとうしないといけない」


「……」


「もし、お前が、『お前の望む未来』に届いた場合……この世界は、その『理想の世界線トゥルーエンド』に統合される。不確定だった箱の中の猫、お前からしたら『猫が死んでいたバージョンの世界線』として『あったかもしれない可能性の一つ』として適切に処理される。その時、はじめて、この世界も、俺達も、なかったことになる」


「……トゥルーエンド以外はいらねぇ。それ以外のバッドエンドは全部、本物に統合されて消えてしまえばいい。俺は届く。俺なら届く。確実に届く。トゥルーエンドしか認めない俺の頑固さに震えて眠れ」


「何が、本当のトゥルーエンドなのか、俺には分からないが……とりあえず、俺にとっての最善は、結局のところ、ニコトピアを取り戻すこと……そして……まあ、とりあえず、その世界に、セイラをつれていくことも最善の一つ……少なくとも、『俺が死んで終わり』ってのは『俺にとって最悪』なのはわかっている……だから、必死の抵抗をさせてもらう」


「取り残されたお前に出来ることはないだろう。まあ、俺にもないだろうが」


「俺一人だけだったら、厳しかったかもなぁ。けど、取り残されたのは俺だけじゃない」


「ほかに誰がいるって? セイラとトコなら俺が殺したけど? 復活させる気か? だいぶ時間がかかると思うぞ。俺たちの闘いを邪魔させないよう、丁寧に壊したから――」


 そんなセンの発言を遮って、

 カミノは言う。



「これまでに取り残されて続けてきた、無数の俺」



「……」


「全員で、ちょっとずつ、チートパワーを溜めてきた。1000億年を積んできたのはお前だけじゃない。俺という概念のチートっぷりを甘く見るなよ、センエース」


「……」



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