3話 いくぞ、カミノ。殺してやる。
3話 いくぞ、カミノ。殺してやる。
「……数値的には……ゴミだな……俺は……」
カミノも、一般人からすれば、膨大な数字を誇っているわけだが、
しかし、対象となる相手が、あまりにエグすぎて、
普通に、ゴミとしか思えない。
「だけど……俺の場合、存在値の数字どうこうよりも、『メモリの量』が大事になってくる……これだけ、爆発的にメモリが増えれば……できることが爆増する」
そこから、カミノは、
これまでは、メモリ不足のせいで諦めていた『チート』に手を染め始める。
禁忌の上に禁忌を重ねて、それを禁忌でコーティングしていく――そんな、もはや、何が何だか分からない手法に打ってでる。
「上エックス、下ビー、エルワイ、アールエー、モキュモキュ、フルモッキュ、P0000786」
デバッグコマンドを入力し、
「――岡目千目――」
強制的に、神の召喚獣を呼び出す禁忌を発動。
カミノが呼び出したのは、
「――来い……聖なる死神セイバーリッチ」
究極の邪悪。
『痛さ』の最終形態。
世界中の厨二をかき集めて煮詰めたかのような、
あまりにも、『尖り』がエグすぎる渾身のフォルム。
その様を見たセンは、
「……何度見てもカッケェと思っちまうなぁ……アレをカッコイイと思ってしまうあたり、俺が、全然、『卒業』できていない証……俺は、永遠に厨二なんだろうなぁ」
などとつぶやきつつも、
丁寧な武を構えて、ここから先の闘いをシミュレートする。
『覚醒して、セイバーを召喚するカミノ』と、これまで、何度も戦っているので、センは、まったく動じることなく、『これまでに積み重ねてきた、これからの経験』をもとに、ここからの戦術を組み立てていく。
(カミノと同じ盤上で思考ゲームをしても絶対に勝てねぇ。そのステージで闘い続けたら、この先、1000京年をかけたところで、無意味な堂々巡りの連鎖が続くだけ……盤外のジンテーゼを魅せつけるしか、俺に勝機はない)
カミノの『盤上における天才性』、
その一点の才能だけでみれば、
田中家の面々でも、一切歯が立たない次元。
だから、そこで勝負をしてはいけない。
「行くぞ、カミノ……殺してやる」
だいたいの目安をつけると、
センは空間を跋扈する。
ヨミを頼りに戦場を形成していくスタイルはもう捨てた。
必要なのは、『積み重ねた経験』に頼った反射の連鎖。
これまで、ずっと、そうやって戦ってきた。
イカれたキチ〇イのように時間を積み重ねてきた。
反復練習を何度も、何度も、何度も、繰り返して、血肉化してきた。
――本当に頭のいい連中は、『詰め込み学習』をバカにする傾向にある。
なぜなら、詰め込みなんてしなくても、サクサクとテスト(ハードル)をクリアできるから。
詰め込みなんて『泥臭くて古臭い非効率な悪手』と小ばかにして笑う。
……笑っていればいい。
お前らに尊ばれたくてやっているわけじゃねぇ。
事実、無能だから、こういう手段しか取れない。
『最効率』を求めだしたら、たぶん、もっといい手段は、きっとある。
知っているよ、そんなこと。
わかっていて、『アホなくりかえし』という手段を選んだ。
なぜ、そんな道を選んだか、『賢いお前ら』に分かるか?
わかるわけねぇよな。
だって、俺も分かってねぇんだから。
バカは、自分の行動の理由を説明できないからバカなんだ。
賢者にも愚者にも理解不能なマヌケっぷり。
それを晒した先にしかないものを求めて、俺は飛ぶ。
――と、センは、頭の中で、
どうでもいい言葉を紡いでは消していく。
闘いに集中する中で、
ある種、卑屈なポジティブに浸る。




