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87話 カースソルジャーの便利さは異常w


 87話 カースソルジャーの便利さは異常w


「俺の手に対して、お前がどう動くか……定石の連鎖だけでは測れない無限のせめぎ合い……その領域でこそ、俺の資質が活きてくる……」


 武を構えなおすカミノ。

 だいぶお粗末ではあるものの、しかし、その『深部』には、確かな重さを感じる武。


「行くぞ……俺の人生を教えてやる」


 神闘とは――

 『算数と数学』の関係と言ってもいいが、

 やはり、一番シックリくるのは、五目並べと囲碁だろう。

 将棋とはさみ将棋でもいいのだけれど……そっちだと、少しだけニュアンスの濃度が薄い。


 碁と将棋の分かりやすい違いは、やはり、盤面に最初から陣が敷かれているかいないか。

 場にいる駒の動きが重要になる将棋と、一度設置されたら基本動かない石の並びが重要になる碁。


 構想力と連結的な思考。


「上エックス、下ビー、エルワイ、アールエー、モキュモキュ、フルモッキュ、P0000786」


 流れの中で、デバッグコマンドを入力し、


「――『岡目千目』――」


 異質な魔法を使うと、

 カミノの背後に、魔方陣が現れ、

 その奥から、

 呪いの具現化とも呼ぶべき兵士が召喚された。


「……こいつは、カースソルジャー。デバフ要員の召喚獣だ。俺のメモリ不足で、ゴミみたいな存在値だが、しかし、ステータスはどうでもいい。大事なのは布石としての精度……ここから、『闘い』は高度になっていくから、振り落とされないように注意しろよ」


 そう言うと、

 カミノは、テレパシーで、カースソルジャーに指令を出す。

 恐ろしく複雑な命令は、もはや、プログラムと言っていいレベルだが、

 そのイカれた指令を実行できるようにカスタムされているので問題はない。


 相手の動きを予測して、最善の一手を求める。

 ――その技能に関して、セイラも、実のところそこそこ優れている。

 彼女も、一般人が相手なら、無双できる程度の棋力がある。


 だが、


「強いな、セイラ! あっぱれだ! お前の本当の強さは、数値じゃなく、その戦闘思考力!」


 闘いの中で、

 カミノは、セイラを理解していく。

 ほとんど言葉を交わしていないが、

 しかし、だからこそ、カミノには、セイラの器が正確に見える。


 縦横無尽に、3次元の空間を十九路に仕立てて、

 カミノは、セイラを制圧していく。


 セイラは、


(闘いの質が、明らかに変わった……まるで、ルールそのものが変わったような……命の奪い合いという前提に変わりはないが……まるで、そう……『五目並べ』と『囲碁』ほどの違い……)


 かつて、

 この世界に転生する前、

 ――セイラは、碁を打っていた。

 プロ棋士ではないが、

 『為政者』の『たしなみの一つ』として、

 それなりに本気で向き合っていた。


 セイラは、転生する前、

 日本を牛耳る『闇のフィクサー』をしていた。

 裏世界の頂点に立ち、日本を陰から操っていた、化け物の中の化け物。

 極めて優れた洞察力と観察眼を武器に、

 何十年単位で、金と権力の中枢に巣食い続けた。


 だから、なんとなく理解できた。

 目の前にいる者の素養。

 カミノがセイラを見通しただけではなく、

 セイラもまた、カミノを見通していた。



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