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85話 必要な熟練度と経験値量がバグっている。


 85話 必要な熟練度と経験値量がバグっている。


(っ?! プラチナスペシャルの『0000001』~『0000003』までが、謎の『レベル制』に改悪されている……っ! レベルを最大まで上げれば、どうにか、元の効果として使えるが、レベル1状態だと、メモリを異常に食うだけで何の意味もないお荷物……っ)


 『絶対的精神的支柱』・『不屈の魂魄』・『病的な高潔』に対する『信じられない改悪』に驚愕するカミノ。

 カミノは、これらの破格スペシャルを、こんなクソみたいなゴミ仕様では搭載していない。


(……スペシャルレベルを上げるために必要な熟練度と経験値は……な、なんだ、この異常な必要量は……バカか……こんな量を稼ぐのに、いったい、何億年かかるんだ……いや、億なんて、そんなもんじゃ無理……何兆……いや、何京年という次元……それでも届くかどうか……)


 ナーフのされ方が尋常ではない『三種のプラチナ』に対して眩暈を感じていると、

 そこで、カミノの要求通り『お行儀よく待機してくれているセイラ』が、


「いつまで待てばよいのかのう?」


 と、せっついてきた。

 その催促に対し、カミノは、


「ぐっ……」


 クソの役にも立たない絶対的精神的支柱を秒で解除して、


(ラッキーニルヴァーナは……ダメだ。相手の方が強いと意味ねぇ……ディアブロコミュニティも配下が大量にいないと意味ねぇ……ウルティマ・ギアスは……最悪。……ウルティマは根本のスペックが低いと、真価が発揮されねぇ。オーバージーニアスは……無理、うまく扱える気がしねぇ……)


 最高位のプラチナは、破格の性能を誇っているが、しかし、どれも、『整えなければいけない前提条件・限定条件』が多い。


 自分のビルドに適応した『使い勝手』のいいスペシャルやいかに、

 と、最善の答えを模索するカミノ。

 数秒をかけた選択の果てに、


「……下、上、右、左、セレクト、スタート、セレクト、スタート、ビー、0000120」


 デバッグコマンドを入力してからつぶやく。


「――『史上最強の弟子ソウゾウ』を搭載」


 それは、本来、『師事する相手』がいなければ発現する可能性すらないスペシャル。

 簡単に言えば『師匠が有する技能の一部が顕現する』というチート。


 カミノは、自分の中にいる『キメラ』の『本来の能力』を『師』と『設定』することで、自分自身の可能性を底上げしようとした。


 結果的に、それは、大成功。


「……キメラに使える『神闘』の一部を顕現……出来ると思わなかったな……もちろん、さすがに、『ほんのちょっとだけ』だが。……それに、そこらの一般人に、『コレだけ』が顕現したところで意味はない……けど……」


 『現闘』の基礎が出来上がっていない者が神闘をかじっても意味はない。

 そんなことはカミノも理解している。

 ただ、


(……神闘の真理の部分には、『碁の概念』をぶち込んである……俺は、確かに、プロにはなれなかった棋士の成りそこない・悲惨な敗北者だが……棋院で命を削ってきた時間だけは、決して『ニセモノ』じゃない。絶好調の時は、プロ相手に勝つことも出来た……俺に『プロになれる器』はなかったが、しかし、間違いなく『碁の才能』はあって、かつ、死ぬ気で努力してきた……つまり、それが、どういうことか……一言で言えば……『俺の碁の強さは、一般人の視点では、神レベル』ってことだよ)


 カミノは、地獄の最果てとも呼べる『死線』で、もがき、あがき、苦しみ続けてきた。

 『3年以内に勝てないと人生が終わる』

 『来年勝てなければ人生が終わる』

 『今年勝てなければ人生が終わる』

 『ここで勝てなければ人生が終わる』

 そんな地獄とずっと向き合ってきた。

 青春の全てを、『人生の終わり』をかけた地獄に費やしてきた。

 そして、その狂気的な努力の全てが水泡に帰した。


 ――そんな自身の、研ぎ澄まされた絶望と悲壮感を、全て、『自身の魂に顕現させた神闘』に注ぎ込む。


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