84話 絶対的じゃない精神的支柱。
84話 絶対的じゃない精神的支柱。
――『いつ生えてきたのか』を認識することすら出来ない速度の再生。
それを目の当たりにしたセイラは、
「ふはは! なるほど、面白いスペシャルじゃな! 確かに『回復した』というよりも、『何事もなかったように処理された』と言った方が正しい感じじゃ」
ギャグ漫画補正は、一応、機能している。
どんなダメージを受けても、次のコマでは元通り。
その特質は再現されているが……
(……魔力とオーラを、ゴッソリともっていかれた……これじゃあ、普通に回復魔法を使った方が燃費的にはいいんじゃないか?)
すでに、カミノはフラついていた。
腹が減りすぎている低血糖時のように、
『ものを考える』という機能すら落ちている気がした。
体が重たい。
足に力が入らない。
(……鍛錬不足にメモリ不足……ダメだ……ギャグ漫画補正は、使いものにならない……)
そう判断すると、
カミノは、即座に、ギャグ漫画補正を解除して、
「……っ……し、下、上、右、左、セレクト、スタート、セレクト、スタート、ビー、0000001!!」
デバッグコマンドを入力してから叫ぶ。
「――絶対的精神的支柱を搭載!」
破格のスペックを誇るものしかないプラチナの中でも、特にブッチギリのイカれたスペシャルを搭載していく。
『それだけの価値がセイラにはある』という最高位の評価。
「よっしゃああ! 無理かと思ったけど、いけたぁああ! 流石に、今の俺のメモリじゃ、かなりスペックは落ちるだろうけど、しかし、仮に『1%程度』の性能でも、別格に破格なのが、絶対的精神的支柱! さあ、このチートの中のチートである、『評価査定』最強のプラチナスペシャル『絶対的精神的支柱』の恐ろしさを教えて……って……ん?!!」
自分に搭載された絶対的精神的支柱の効果を解析したところ、
「は?! なんで?!」
カミノに搭載された絶対的精神的支柱の効果は以下の通り。
『絶対的精神的支柱を持つ者の【近く(物理的または精神的に)】に【心】が在る味方に、【不屈の魂魄】と【病的な高潔】が発現する可能性が産まれる』
「え、なに、このクソみたいなスペック?! いやいや、違う、違う! 違うよ! 絶対的精神的支柱は、『相手は死ぬ』級の、究極かつ無敵のスペシャルだよ! え、なに、これ、ほんと?! どういう改悪?! なんで、こんな、アホみたいなナーフをくらってんの?! いや、あの、絶対的精神的支柱は、プラチナの中でも、ぶっちぎり最強のプラチナなんですけど?!」
「何を喚いておるのかよくわからんが、もう攻撃してもよいのかのう?」
「だめだめだめだめ! 死ぬから! 今の俺、ギャグ漫画補正を解除しているから! だから、殺されたら、普通に死ぬから! ちょっと待って、マジで! いや、ほんと、マジで!」
叫びながらも、頭の中では、自分に搭載した『絶対的精神的支柱』の資質について調べていく。
(っ?! プラチナスペシャルの『0000001』~『0000003』までが、謎の『レベル制』に改悪されている……っ! レベルを最大まで上げれば、どうにか、元の効果として使えるが、レベル1状態だと、メモリを異常に食うだけで何の意味もないお荷物……っ)




