81話 元主役級の切り札。
81話 元主役級の切り札。
「今のムーブ一つだけでも分かるんじゃが……ぬし、戦闘力は低いようじゃな」
「……はんっ。なにを、得意げな顔で。俺の戦闘力がゴミだってことは、そこそこ強いヤツなら、みんな、秒で分かることなんだよ」
と、堂々と情けないことを口にするカミノ。
続けて、カミノは、
「俺の本質は、戦闘力以外にあるってことを、その身に叩き込んでやるよ」
そう言いながら、
さらに、いくつかのデバッグコマンドを使って、
どうにか、セイラを崩そうと頑張ってみた。
その結果、
カミノは気づく。
(え、こいつ、なんか、むちゃくちゃ『深みのある強さ』しているんですけど? ……もしかして、こいつも『元主役』級? ……キメラに匹敵する……いや、あるいは、それ以上の器……っ)
と、
セイラの強さにビビっていると、
そこで、セイラは、
「なるほど、異質な強さじゃのう。ワシごときでは、理解ができん領域……世界のシステムに干渉し、無数のチートを顕現させる力……なるほど、興味深い……」
などと、カミノの器をはかりつつ、
「面白いものを見せてもらった。その礼として、ワシも、隠し玉を見せよう。これまで、誰にも見せてこなかった、とっておきの切り札。ほとんど生まれた時からの付き合いであるロバンにすら隠し通してきた秘密兵器。――これは、ワシの覚悟の証でもあり、交渉の材料でもある。さあ、刮目してもらおうか」
そう宣言してから、
セイラは、精神を集中させて、
「特別機動人形ランク23。――セイラ・アカナティス・インサイドギル専用煉獄、出撃準備開始」
詠唱をすると、セイラを中心として、地面に巨大なジオメトリが展開される。
かなり特殊な形状の魔方陣だった。
類を見ない模様。
あまりにも異質。
そして、表示される。
『――専用マシンゴーレム、出撃準備完了』
起動開始の合図が表示されると同時に、地面に描かれたジオメトリから、無数の『魔法鋼パーツ』が、噴火したマグマのようにドワっと湧き上がってきて、ガチャガチャガチャッと、召喚者の体を閉じ込めるように組みたてられていく。
マシンゴーレムの組み立て過程こそ、他のマシンゴーレムと大差ないが、
しかし、出来上がった後の出来に関しては完全に別物。
そこらの一般的なマシンゴーレムとは、
根本からして『質』が異なる破格のスペック。
『専用マシンゴーレム』という特質は、
そうそう拝めるものではない、
領域外の一手。
その破格の一手を目の当たりにしたカミノは、
目を丸くして、
「……専用マシンゴーレム? ……はぁ? なんじゃ、そりゃ……そんなもん、知らんぞ……どうなってんだ?」
マシンゴーレムという概念は当然知っている。
機動魔法に関して、知らないことはないと言っても過言ではない。
――だが、コレは知らない。
まったく意味が分からない。
「ワシも、ワシ以外の者で、コレを使うことが出来る者には、まだ出会ったことがないよ。ワシだけの特別……どうぞ、ごゆるりと、堪能してほしい」




