表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

527/1228

75話 言葉の意味はよくわからんが、とにかくすごい自信だった


 75話 言葉の意味はよくわからんが、とにかくすごい自信だった。


「俺の手ゴマになるなら、上級国民を殺してもらうけど、それでもいい? もし、必死に働くなら……そうだな……さっき回収した、この……えっと……セレス? このオバハンを、蘇生させてやるよ。ただし、ニコトピアを復活させたあとだけど」


 気づけば、死んだはずの私は、

 現世で目を覚まし、カミノの足元でピクピクしていた。


 ……カミノの言葉がなくとも、おそらく、なんとなく、感覚で分かっただろう。


 私は一度死に、そして、甦った。


「……死者を……本当に……復活させることができるのか……」


「人間だけじゃなく、世界も復活させられるさ」


 言葉の意味はよく分からなかったが、

 しかし、すさまじい自信を感じさせた。


 いや、自信というよりも狂気。

 決死の覚悟。


「……セレスを……よみがえらせてくれるのであれば……何でもする。最終的に、私を殺してくれてもかまわない……だから、その約束だけは……どうか……どうか……守ってほしい」


「じゃあ、今後、あんたはジェイズの裏メンバーってことで、よろしく。ちなみに、あいつらは、今、俺の指示で、テキトーな上級国民を殺している。あんたは、その補助に入ってくれ」


 ――こうして私は、殺人鬼の手先となった。

 別にかまわない。

 上級国民が何人死のうと、どうでもいい。

 セレスを取り戻せるなら、私は何でもする。






 ★






 カラミドをジェイズの裏メンバーに加入させて以降も、

 カミノは、『使えそうなまともなヤツ』を、バンバン、

 ジェイズのサポートメンバーに加えていった。


 最終的に、10人近い大所帯になり、

 1日に殺せる上級国民の数も増えてきた。



 すでに、数千人単位で、上級国民が暗殺されてしまった。


 こうなってくると、

 『国家』もさすがに、ぬるい体制ではいられない。

 本気で、殺人鬼をつぶす覚悟を国民に示した。


 ただ、ここまでくると、

 国民の中には、殺人鬼を応援する派閥というのも出てきた。

 なんせ、殺人鬼は、『権力をふりかざす上級国民を、ハジからぶっ殺してくれる存在』で、一般市民には、絶対に手をださない。

 上級国民を、護衛している冒険者は殺されているようだし、上級国民の屋敷で仕事をしているメイドや執事も、『抵抗』した場合は殺されているようだが、しかし、無抵抗を貫いた場合は、どうやら殺されていないらしい。


 殺人鬼の目的は、あくまでも『上級国民である』という理解が広まると、一般市民の中で、殺人鬼に対する恐怖心はなくなった。


 国がバタバタして、生活面でも、色々と物価が上がったり、市政が滞ったりして、迷惑な部分もあるが、しかし、それ以上に、痛快だというのも事実だった。


 庶民の中では、

 上級国民専門の殺人鬼が希望になっていた。


 ――そんな、奇天烈な展開に、一番危機感を覚えていたのは、

 国でも、上級国民でもなく、

 噂の殺人鬼本人だった。


(希望を与えてどうするんだよ……俺が振りまかないといけないのは絶望だろうが……)


 などとつぶやきつつ、

 右手首に巻かれている絶望ウォッチの数値に目を向ける。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ