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73話 最後のミッション。


 73話 最後のミッション。


 私は、割りのいい仕事を受けた。

 最近流行っている、『上級国民を中心に狙う殺人鬼』から、とある上級国民を護衛するという任務。


 その任務が、私の最後の任務になった。

 偶然なのか、必然なのか、それは分からないが、

 例の殺人鬼は、私が護衛していた上級国民を狙ってきた。


 驚くべきことに、殺人鬼の正体は、

 冒険者チーム『ジェイズ』の下男だった。


 ギルドで、何度か顔を見たことはあった。

 印象に残らない男だったので、あまり覚えていないが、

 多分、言葉を交わしたこともある。


 その下男――カミノは、非常に強かった。

 『戦闘能力を持たない荷物持ちの下男』をやっていたのは完全な偽装だったらしい。


 戦闘力という点では私の方が上だったが、

 カミノは、あまりにも異質な力をもっていた。


 どれだけのダメージを与えても死なない。

 動きは素人同然だったが、

 しかし、『芯』の部分には『謎の凄み』があった。


 私は負けた。

 あっさりと負けて、呪縛の魔法で動けなくされた。


 そんな私の目の前で、私の護衛対象である上級国民は、しっかりと拷問された上で殺された。

 次は私の番だった。


 もはや抵抗一つできない私に、

 カミノは言った。


「……あんたのその目、まるで、死を受けているような目だけど……死んでもいいの?」


 私は、少しだけ逡巡してから、


「……死者を……蘇生させる方法……知っているか?」


 ダメ元で聞いてみた。

 別に、答えてもらえると思ったわけではない。


 私は、基本的に、『大きな力』を持つ相手には、この質問を投げかけるようにしている。

 何か、ヒントの一つでも知らないだろうかと。

 もし、知っているのであれば、金を払って情報を得ようと思って。


 冒険者ギルドで顔を合わせた時は、これだけの力を持つとは知らなかったから、この質問をしていなかった。

 だから、今、尋ねた。

 それだけ。


 どうせ死ぬと思ったから、最後に、とりあえず、聞いてみた……それだけ。


 死者の蘇生に関する術は、かなりの秘術らしく、

 『その噂だけ』を知っている者の数はそれなりにいたが、

 『詳しいこと』を知っている者はいなかった。


 だから、どうせ詳しいことは知らないだろう、

 と、別に、何の期待もしていなかった。


 だが、


「反魂の神聖式に関してなら、たぶん、この世の誰よりも詳しいんじゃないかな。というか、魔法とかの本質に関しては、知らんことはほぼないぞ」


「……ぇ……」


「反魂の神聖式は、概念上の『死』を経た肉体から離脱したコアオーラを回収する秘術だ。反魂は、破損したデータのサルベージ。だから、壊れ方によって、回収する難易度が変わってくる。外殻が全損している場合、新しい外殻を用意する必要があるけど、完全に別物の箱を用意した場合、たいがい、適合できずに、ゾンビ化してしまう」


 スラスラと、死者蘇生に関する秘密を口にするカミノに、私は、


「な……なぜ……そんな、神の知識を……どこで、そんな……」


「どこで情報を得たとか、それ、大事か?」


「いや……どうでもいいな……そんなことは……」


 私は、自嘲気味に首を横にふってから、


「……教えてほしい……死んだ人をよみがえらせることは……あなたには……可能なのか?」


「いけると思うよ。相手の存在値にもよるけど。存在値500以下なら、どうにかなる……と思う。やったことないから知らんけど」




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