68話 限界を超えて苦しめ。
68話 限界を超えて苦しめ。
「よーし……『存在値500近いヤツ』に殴られても、吹っ飛んだり、怯んだりしない程度には、耐久値が上がったぞ……ここまできたら、どうとでもなる。キメラと合体してよかった。もし、キメラがいなかったら、ここまでくるだけでも、とんでもない時間がかかっていただろうからな」
キメラと合体した現在、
カミノの存在値は300にまで上がっていた。
↓キメラと合体する前。
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名前『紙野創蔵』
・称号『創造主』
《レベル》 【17】
[プライマルメモリ]【1%】
[デバッグコマンド]【2%】
[父性] 【372%】
[魂魄汚染度] 【92%】
[主人公査定] 【1%】
[人間性] 【7%】
[破損度] 【32%】
[適合率] 【12%】
スペシャル「原初のイタズラ」
戦闘力評価「☆」
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↓キメラと合体後。
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名前『カミノ・キメラ』
・称号『創造主』
『神の異質同体』
《レベル》 【200】
[プライマルメモリ]【8%】
[デバッグコマンド]【3%】
[父性] 【307%】
[魂魄汚染度] 【259%】
[主人公査定] 【23%】
[人間性] 【52%】
[破損度] 【7%】
[適合率] 【9%】
スペシャル「原初のイタズラ」
戦闘力評価「☆☆☆」
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「行くぞ、ラベンチャ。限界を超えて苦しめ」
そうつぶやいてから、
カミノは、ありとあらゆる拷問系統の魔法を使い、
ラベンチャに、絶望を叩き込む。
ある程度、HPを削って、
『これ以上やると死んでしまうかもしれない』という段階になったところで、
「上エックス、下ビー、エルワイ、アールエー、モキュモキュ、フルモッキュ、0020333」
デバッグコマンドを入力して、
「――闇色領域ランク15」
拷問に特化した魔法を使う。
この領域に閉じ込められてしまったら、
『死ぬ』ことすら自由ではなくなる。
領域展開者であるカミノが『死んでもいい』と認めない限り、
ラベンチャは、どれだけ致死的なダメージを受けたとしても半永久的に死ねない。
「さすがに、お前とばかり遊んでいる時間はないから、地獄の濃度を濃くさせてもらう。ここからは、心を殺すゲーム。そのRTA」
宣言してから、
カミノの凄惨な拷問は加速した。
同じ人間を、徹底的に破壊し尽くしているというのに、
カミノには、なんの心情の変化も見られない。
カミノが『完全に壊れてしまっている』のであれば、
それも『まだ理解できる範疇』ではあるのだが、
しかし、カミノは、まだまだ正常である。
もっと言えば、キメラと合体したことで、
『人間性の部分』はかなり回復している。
なのに、カミノは、このありさま。
つまりは、もともと、壊れている。
『拷問を楽しむ』という資質は、持ち合わせていないが、
『拷問を屁とも思わない』という異常性は備わっている。
『他人がいくら苦しもうが知ったことか。俺は、俺の世界だけが大事なんじゃい』
とても元主人公とは思えない心情。
しかし、だからこそたどり着ける場所もある。
カミノは止まらない。
徹底的に、ほとんど無機質に、
悪意のまったくない『暴力的なイノセンス』で、
徹底的に、ラベンチャを壊していく。
ラベンチャとカミノ、どっちの方が『人間的か』と問えば、
確定的に、ラベンチャの方が、まだ人間的であると言えよう。
カミノの『壊れ方』は、ある意味で、神の領域にあると言っても過言ではないのだ。
「ぉごっ……ごほっ……も、もう……殺して……お願い……します……」
己の殺害を懇願するという、昨日までのラベンチャであれば、絶対にありえない境地。
そんな、異質な領域にまで、ほんの数分で引きずり込んだカミノは、
人間とは思えない冷徹で平坦で無垢な顔で、
「はははっ、なんでやねん」
ありえない、と笑う。




