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47話 エクストラボスからは逃げられない。


 47話 エクストラボスからは逃げられない。


「――知らないけど、あってもおかしくはない。この世界は、日本と違って、魔法やスペシャルが存在する世界。なんでもありの魔境だから」


 イチジョーの言葉に、マイが、


「今の私には使えない上位属性の魔法しか効かないのかも。あるいは、特定のデバフ魔法をかけた上で手順通りに攻撃しないと死なないとか?」


 そこで、イチジョーが苦い顔で、


「どういうカラクリかは分からないけれど、『なかなか殺せない半分不死身みたいなやつ』で、かつ、隠密に優れ、暗殺に特化しているということは判明した。素の戦闘力や存在値は低く、分身魔法が使える……これだけ情報が集まれば、対策を練ることができる。幸い、『真正面からの殺傷能力は低いっぽい』から、逃げることも容易。十分に、対策を練ってから、もう一度、挑戦――」


 などと、悠長なことを言っていると、

 そこで、


「――上エックス、下ビー、エルワイ、アールエー、モキュモキュ、フルモッキュ、0000635」


 あの、意味不明な詠唱が聞こえた。

 と、思った直後、


「――限定空間ランク12」


 空間魔法に閉じ込められてしまった。

 体育館サイズの真っ白な空間。


 ジェイズの面々は、高位の冒険者として、それなりに経験豊富。

 これまでにも、空間魔法を使われたことは何度かある。

 だから、


「カザミ、マイ! あいつの足止めを頼む! 俺が限定空間を破壊する!」


「「了解!」」


 空間魔法は、基本的に、

 壁を殴っていれば破壊できる。

 壁の耐久力は、『ランク』と『使用者の魔力』によって変動するのが定石。


(あの殺人鬼……剣での戦闘力は低いが、魔法は得意というタイプなのか……ランク12は、マイでも使えない高位の魔法……)


 ランク12といったら、存在値250前後の強者が使う魔法。

 だから、ランク12の空間魔法は、それなりに耐久力があるということになる。


(もし、空間魔法だけではなく、攻撃魔法も、その高ランクで放てるとしたら……)


 殺される可能性もある。

 その理解に達すると同時、ゾクっと背中を冷たい衝動が駆け巡る。


(こんなところで……死んでたまるか……っ)


 気合いを入れなおし、

 イチジョーは、必死になって、空間魔法を破壊しようと、壁への攻撃を繰り返す。


 だが、いくら攻撃しても、紙野の限定空間はビクともしなかった。


(な、なんだ、この耐久……まさか、本人と同じで、限定空間も不死身だなんて言うんじゃないだろうな……っ!)


 決して、不死身ではない――が、

 『耐久力に極振り』はしている。

 ランク30級の耐久力にまで引き上げられているため、

 イチジョーの攻撃では破壊できるわけがない、という単純な話。


 しかし、そんなことを知る由もないイチジョーは、


(やばい、やばい、やばい、やばい、やばい!!)


 普通に、パニックになる。

 長年の異世界生活で、それなりに、根性はわってきたが、

 しかし、命の危機を感じざるをえない『本物の極限状態』に陥ったことで、

 根本的なメンタルの『凡庸さ』が浮き彫りになってくる。



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