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45話 殺人鬼は死なない。


 45話 殺人鬼は死なない。


 『効率的にチームが成りあがっていくため』には『イチジョーが中心をしている方が合理的だ』と理解できるだけの頭はあるのだが、それでも、リーダーの座をどこかで諦めきれないので、ちょいちょい、その願望が言動に現れる。


 ――そんなカザミのスタンスは、イチジョーも昔から理解しているので、その点に対しては特に何も言うことなく、


「……ただし、その殺人鬼が、想定以上に強者だった場合は、すぐに逃げよう。かりに、勇者や魔王に匹敵する実力者だった場合、今の俺達では相手にならない」


「ジョーさんよぉ、慎重なのは結構だが、さすがに、そこまでいくともはや、被害妄想厨のパラノイアだぜ。クリミアが殺されたんだから、噂の殺人鬼は、それなりの実力者なんだろうけどよぉ。……さすがに、『勇者や魔王級である可能性も否めない』なんて、そんなことを言い出すのは、リーダーとして問題だと思うぜ。――というわけで、ここは、いったん、リーダーを、俺に任せてみるのはどうだ? チームには、そういう改革も必要だろう?」


「可能性はゼロじゃない。それに、最悪の事態を想定しておくのは大事だろう」


 そう言ってから、

 イチジョーは立ち上がり、


「虎穴に入らずんば虎子を得ず。まったく危険を冒さずに、夢を叶えられるとは思っていない。2億は、確かに魅力的だ。このチャンスを逃すのは流石に愚策。……今回も、力を合わせて、未来をつかみとろう」



 ★



 噂の殺人鬼の足取りをたどるのは困難を極めた。

 かなりの手練れのようで、どこにも痕跡を残していない。


 だから、イチジョーたちのチーム『ジェイズ』が、

 『彼』を見つけ出すことが出来たのは、ただの幸運。


 いくつかの偶然が重なったことで、

 ジェイズは、噂の殺人鬼――『紙野創蔵』とのエンカウントを果たした。


 闇夜の、とある屋敷で、

 上級国民の一人を殺害している紙野を発見したジェイズは、

 自分たちの運の良さを神に感謝しつつ、

 紙野を殺そうと襲い掛かった。


 その結果、




「勝てない! いったん、退避!」




 イチジョーの判断は迅速で的確。

 カザミも、歯ぎしりしながら、リーダーの判断に従って脱兎。

 マイは、チームの逃走を全力でサポート。


 10分ほどの『ぶつかり合い』を経て、三人は理解した。

 目の前にいる殺人鬼の奇怪さ。

 その特異すぎる異質さ。


 逃走の途中、カザミが、忌々しそうな顔で、


「なんなんだ、あいつ! 何したって、死なねぇじゃねぇか!」


 ジェイズの三名は、完璧な連携で、紙野をボコボコにした。

 正直言って、紙野の存在値はゴミみたいなものだった。

 なぜか詳細は見えなかったが、おそらく、50以下。

 ジェイズからすれば秒で狩れる相手。

 こんなのに狩られた上級国民はマヌケだったとしか言いようがない。


 おそらく、忍殺特化型の暗殺者なのだろう。

 正面からやり合えば、負ける要素はない。

 ――これで2億はチョロすぎる。

 と、3人は舌なめずりをした。


 サクっと殺して報酬ゲット。

 そんな未来を想いながら、

 紙野に攻撃を加えていったのだが、

 しかし、いつまでたっても、紙野は死なない。



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