26話 子供を殺された親の怒り。
26話 子供を殺された親の怒り。
「俺のプラス・プライマル・プラチナスペシャル『原初のイタズラ』は、ニコトピアでしか使えないデバッグコマンドを、どの世界でも使えるようにするという、ふざけたスペシャル。……ただし、俺の力がゴミすぎて、本来のスペックでコマンドを使用することができないから、魂を媒体にしたり、こうして、暴露を積んだりしないといけない……これは、あまりに面倒くさい。早急にレベルを上げる必要がある……というわけで……」
丁寧に暴露を積んでいく紙野。
「お前の命を利用させてもらう。アイテムも全て回収する。骨も皮も全て、素材として、俺のために使わせてもらう。……同郷の人間は希少だし、お前自身のスペックを鑑みるに、残しておいた方が色々と使い勝手がよさそうだが……お前はトコを殺したバカ野郎だから、慈悲を見せることはできない。子供を殺された親の怒りをナメない方がいい」
そう言いながら、
キムロに殴り掛かる。
その速度は、お世辞にも早いとは言えなかった。
――だから、キムロは、簡単に回避できた。
回避の流れの中で、そのまま、反射的に、カウンターを叩き込む。
ドガっと、クリティカルな拳が紙野の顔面に入る。
「うぐっ!」
「な、なんだ、弱いじゃねぇか! 歪んだオーラだけの見掛け倒しがぁ!」
そう理解すると同時、
キムロは、躊躇なく、全力で、紙野を殺そうと、
この世界で磨いてきた暴力の全てを叩き込んでいく。
少しも遊ばない。
もう、謎の恐怖に触れていたくない。
だから、キムロは、とにかく、一刻も早く、紙野を絶命させようと、
自分にできる全てを賭した。
「死ね! 死ね! 死ねぇえええ!」
的確に急所を狙う。
確実に殺すためのノウハウを惜しみなく投入。
――そんなキムロの必死の猛攻を、必死になって防御する紙野。
明確な痛みの中で、紙野は、
「本物の経験値が必要……っていうのが、とにかく面倒くさい……」
ため息をつきながら、そんなことをつぶやく。
ボッコボコにされながらも、しかり、当然のように生きている紙野。
そんな紙野に、キムロは、
「ぃいいっ?! な、なんで死なない?! これだけダメージを与えられたら、普通に死ぬはずだ! なんなんだよ、お前!」
「デバッグコマンドを使って、HPが1以下にならないようにしている。基本構造は、プラチナスペシャル『ギャグ漫画補正』と同じ。HPが1以下にはならないことと、どんなケガでも瞬時に治ること。ただし、痛みは普通に受ける。そういうチート……ただ、まあ、ガチのギャグ漫画補正と違い、存在値500以上のやつから攻撃されれば死ぬけどな」
『足りない分』を暴露で補う。
数値の差を覚悟で埋める。
「永久禁止魔カードは、持っているだけで効果を発揮するパッシブ型の禁止魔カード。毎回、デバッグコマンドを打ち込むのもだるいから、利用させてもらった。実際の死線で、デバッグコマンドを使っていくことを想定するなら、なるほど、禁止魔カードというシステムは、非常に合理的だ。とはいえ、それは、準備が十全にできる状態の時の話。殺し合いの真っ最中だと、流石に、禁止魔カードを生成する余裕はないな」
などと言いつつ、
紙野は、
「上エックス、下ビー、エルワイ、アールエー、モキュモキュ、フルモッキュ、0000521」
と、隠しコマンドを口にする。
その直後、
「龍毒ランク100」
イカれた毒魔法を放とうとした――が、
「……100は無理か……じゃあ、龍毒ランク50……50もダメか……」
などと、検証を始める紙野。
その結果、たどりついたのは、
「龍毒ランク10」
ランク10の状態で使えば、どうにか魔法を発動することが出来た。
「うぼぇぁっ!」