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24話 原初のイタズラ、禁止魔カード。

 

 24話 原初のイタズラ、禁止魔カード。


「……俺が用意したキーコードは、もっと単純なものだったんだけれど……セイバーリッチに、だいぶゆがめられてしまった。……俺が創造した世界をベースにして、奇怪に改造されまくった世界……それが、のちの世界……俺が『主役』だった時の歴史は、『プライマルメモリ』なんて言葉でひとくくりにされて、過去の遺物になってしまった……」


 真理の暴露をつみつつ、

 ゆっくりと歩を進める。


 当然、キムロには、紙野の動きの全てが見えている。

 けれど、動けなかった。

 謎の迫力。

 理解できない威圧感に押し込まれて、わずかも動くことができない。

 浅い呼吸すら、難易度がベリーハードになっていく。

 脳が理解を拒んでいるみたいに、考えるのをやめている。

 それは、キムロだけではない。

 後ろで黙って見ている5人の部下たちも。


 誰もが、紙野の圧力に押されて、何も出来ないでいる。


 そんなイカれた空気の中、

 紙野だけが、悠然と、


「世界を創った時……俺は、世界に、『裏ルール』を刻んだ。まあ、簡単に言えば『デバッグコマンド』だ。『ひとしこのみ(アイテムを特定の順番で並べることで、発動するバグ技)』みたいなもの。そんなのもあったら面白いと思って、『創造主が世界を調律するための、いくつかのデバッグ用のコマンド』を、ゲーム内のキャラも使えるように、あえて残した。……どうやら、この世界では、それが、『禁止魔カード』という形で再構築されているみたいだ」


 ――本来であれば、だれも絶対に気づかないような『特定の手順』でのみ発動可能な『裏ルール』を、誰でも簡単に使えるように改良されたアイテム。

 それが、禁止魔カードの正体……の一端。


「……お前らは、禁止魔カードを使わない限り、デバッグコマンドを起こすことはできない。けど、俺は別だ。……全部、知っている。手順も効果も」


 そう言いながら、

 紙野は、虚空に向かって、指を這わせる。


「円環にちょん、円環にちょん。大豆に芽が出て、フラワーポット、フラワーポット」


 『ドラえ〇んの絵描き唄』の、ゴロが最悪の替え歌を口にしながら、

 目の前の虚空に、ドラえ〇んのパチモンを描いていく。


「――小粋にアイロニーをつけたら、どざえーもんー」


 最後に、歌を、そう締めくくったところで、

 キムロの背後にいる五人の部下たちが、


「うぶっ!」


 大量の水を口から吐き出しながらもだえ始めた。

 口の中が、どこからともなく湧き出る水で一杯になり、

 ブクブクと溺れだす五人の部下たち。


 その様子を、戦慄した顔で見つめているキムロ。

 助けようという気は皆無。

 そんな高尚な男ではない。

 この異様な光景を前に、

 キムロが何を思ったかと言えば、


(……これは……あいつがやったのか? 地上で溺れさせる魔法は、いくつかあるが……存在値5に実行できる魔法じゃない……死者を蘇生させたり、存在値200を超えている俺の部下を溺れさせたり……な、なんで、そんなことができる?)


 震えていた。

 あまりに理解が出来なさ過ぎて対処のしようがない。



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