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19話 同郷のよしみ。


 19話 同郷のよしみ。


「すべての苦難が……今日のためにあったんだとすら思う。これまで、散々だった。転生する前はもちろん、転生してからも。転生直後は、これで人生が変わると思っていたが、だんだんと現実が見えてきて、結局、転生前と同じだと分かって絶望した……けど、同じじゃなかった。神様は、俺に道を用意してくれていた。お前を殺し、アイテムを奪い取る……それが、俺の生きる道だったんだ。そして、俺は王になる。必ず、うまく使いこなしてみせる……そして、この世界の全てを手に入れる」


 大胆に宣言してから、

 キムロは、


「さて、それじゃあ、死んでもらうぞ。お前ほどの上玉を売れば、かなりの金額にはなるんだが、しかし、このアイテムの所有権を俺に移す方が、そんな『はした金の何億倍も価値』がある」


 ゆるぎない殺意。

 間違いなく、トコを殺そうとしている。


 ――それが理解できたところで、

 それまで、ずっと、押し黙っていた紙野が、


「キムロさん! 俺も日本人だ!」


 必死の形相で、


「俺の場合は転移でここにきた! さっきの話を聞いた感じ、だいぶ事情は異なるっぽいけど、俺は、間違いなくあんたと同郷!」


 その叫びを受けて、キムロが、『ほう』と興味を示した。


「……まあ、俺が、こうなってんだから、俺以外にいてもおかしくねぇけどなぁ」


 とつぶやいているキムロに、

 紙野が、続けて、


「同郷のよしみで、慈悲をくれないか! その子は、俺にとって大事な子なんだ! 殺さないでくれ、頼む!」


 紙野は、先ほどまで、

 トコなら、この状況をどうにか出来るだろうと、タカをくくっていた。

 それは、トコと同じで、ランク333の魔カードがあるから。

 あの魔カードがあれば、どんな状況でもひっくり返すことができる。

 最後の最後には、あの魔カードに頼ればいい。

 そう思っていた。


 ところがどっこい。

 キムロは、そんな紙野の甘い展望をコナゴナに砕いてきた。

 信じられないほどのチートアイテムを所有した元日本人というイカれたバグ。


 さきほどまで、紙野は、ずっと黙っていたが、

 それは、『どうにかしてトコを救う方法』を必死になって考えていたから。

 だが、何も思い浮かばず、結果、紙野は、同郷であることにすがろうとした。


 外国で日本人に会ったら、強い親近感がわくもの。

 異世界で日本人に会った場合、その親近感はもっと強いだろう。


 同郷の者に対して甘くなるのは、人間のサガみたいなもの。

 それがキムロに通用するかどうかは知らんけど、他に方法がなかったから、紙野は必死になってすがりつく。


「ちなみに……お前が俺と同郷であるという証拠は?」


 その質問に対し、紙野は、用意していた答えを返す。


「ドラゴンボ〇ルなら、ちゃんと読んでいる。セ〇編で例えてくれたから、キムロさんの状況がよくわかったよ。ちなみに、俺は、ミスタ〇サタンがキャラとしては一番好きだ。勘違いものが結構好きでね。同じ理由で、ワンパ〇マンだと、キ〇グが一番好きだね。ちなみに、漫画の中で一番好きなのは『ヒカル〇碁』だ。俺も碁打ちだったから、よく憧れた。最強の幽霊が、毎日指導してくれて、いざと言う時は代わりに打ってくれるなんて最高だ」


「……ははは……間違いなく同郷だな」



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