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13話 レベルを上げる必要があるけど、ちまちま雑魚を狩るヒマはなし。


 13話 レベルを上げる必要があるけど、ちまちま雑魚を狩るヒマはなし。


(口では悪態をつきながらも……実は、この世の誰よりも本質的な意味で優しい……)


 彼女は、その狂気的な『優しさ』を、悪態でカモフラージュするタイプの厄介な子。


(この子を守るためならば、世界を絶望させることもいとわない)


 『狂気的』というのであれば、紙野も相当であった。

 『子を持った親』という狂気。

 その、とてつもなく深い『狂気の底』へと沈んでいく紙野。


 もはや戻れない。

 紙野は墜ちてしまった。



 ★



 紙野が『トコを守るために、この世界を絶望で染め上げる』という『狂気の覚悟』を固めると、そこで、紙野を閉じ込めていた空間魔法がパリィンと弾けて割れた。


 真っ白な空間魔法がなくなった時、

 トコと紙野の二人は、

 汚い路地裏に立っていた。


 そして、足元には、


「……また、説明書か……」


 説明書が二冊ほど落ちていた。

 どちらも内容は同じ。

 トコの分と、紙野の分。


 二人は、すぐに、説明書を拾い上げて、中に目を通す。

 そこには、この世界に関する情報が記されていた。


(北と南、それぞれの大陸を拠点にしている勇者と魔王の力が拮抗して冷戦状態の世界……魔王の国は一つだけ……人間の国はたくさんあってバラバラ……で、ここは、そんな人間の国の一つで、名前はトーン共和国……)


 文量は少なめだったので、数秒で読み終える両者。

 ほぼ同じ時間で説明書を閉じて、

 おたがいに、目を合わせるトコと紙野。


「魔王と勇者は、どっちも存在値800を超えているっぽいね……」


 紙野がそう言うと、トコがしんどそうな顔で、


「魔王と勇者が出張ってきたら、サクっと殺されて終わりなんだけど」


「絶望させるってことは、ようするに、この世界をボコボコにするってこと。それを成すためには、勇者と魔王を超えないといけない……ニコトピアを復活させるためには、どうしても、『力』がいるな……けど、存在値800かぁ……どうやろう……普通のRPGみたいに、ちまちまと、雑魚モンスターを狩って『レベルを上げているヒマ』なんかないし……というか、それをやったところで、本当にレベルが上がるかどうか疑問が残るし……」


 などと、そんなことを考えていると、

 複数の足音が聞こえてきた。


 路地裏の奥から、誰かが近づいてきている。

 紙野が、視線を送ると、そこには、

 ごつい体格をしたコワモテが数名。


 その中でも、最も格の高そうなコワモテが、

 スっと、秒速で、トコを値踏みしてから、


「……ラッキィ。あのメスガキ、ウルトラ極上品だ。ホアノスに、そうとうな高値で売れるだろう。お前ら、捕縛しろ。絶対に傷一つつけるな」


 冷静かつ冷酷に、

 そのコワモテは、部下のチンピラに命令をだす。


 すると、5人の部下が、即座に行動を開始した。

 その動きは、洗練されており無駄がない。

 明らかに訓練された者の動き。

 どうやら、ただのチンピラではなく、

 実力派のチームらしい。


 紙野は、チンピラに絡まれた恐怖を感じるよりも先に、


「トコ、あいつらの存在値は?」


「……どいつもこいつも200以上。なかなか強い」




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