表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

463/1228

11話 デバッグコマンドも使えない、存在値一桁の製作者。


 11話 デバッグコマンドも使えない、存在値一桁の製作者。


「あんた、神なんだったら、このぐらいの厄介事、秒でどうにかしてよ」


「だから、さっきも言ったように、俺は特に何もできなんだよ。『デバッグコマンド』とか使えないかなぁと思ったけど、ここはニコトピアじゃないから、どうやら使えないっぽいし。せめて低位の魔法ぐらい使えないかなぁ、と思って、実は、さっきから色々とためしているんだけど、なんにもできない……たぶん、俺、そうとう弱いと思う。自己鑑定すら出来ないレベルだから相当……」


 そこで、トコは、

 鑑定系の魔法で、紙野を査定する。

 その結果、


「……存在値5? ……ご、ゴミめ……」


 ネタとして口にしたのではなく、事実として、ゴミだと思ったから、ゴミだと口にした。

 それだけの話。


 ちなみに、トコの存在値は320。

 全体的にレベルが低いニコトピアにおいては最強格だが、

 この世界においては、『弱くはない』という程度。

 決して、自由にふるまえるだけの強さではない。

 悪意のある強者にロックオンされてしまうと、かなり危うい。


 安全圏における美貌は、バキバキのメリットだが、

 肉欲にまみれた野獣だらけの危険領域における美貌は、大きなリスク。


「ニコトピアの知識しかないってことは……ここは、ニコトピアじゃないから……あんたは、『すでに消滅した世界』の知識を持っているだけのお荷物ってこと?」


「……まあ、そうなるね。ははは。いやぁ、まいった、まいった」


「2度と神を名乗らないでくれる?」


「別に、神を名乗ったことはないけどねぇ……かみのそうぞうは、ただの本名だから……それに……」


 と、そこで、紙野は、トコの手の中にある説明書を横目に、


「――本当の意味での『神』は、その説明書の製作者だと思う。もっと言えば、トコを具現化させた存在。……俺は、ただ、世界を設計しただけ……アイテムとかキャラとかの設定をプログラミングしただけで、それ以上の何かはしていない……その『設計図を具現化できる超越者』……それこそが神。俺は、神のツールの一つに過ぎない……たぶんね」


 紙野の話を、真剣に聞いて、咀嚼して、飲み込もうとしているトコ。


 紙野の発言は、トコからすれば、かなり突飛なもので、一般人であれば理解するのにかなり時間を要するものなのだが、しかし、『破格に賢いトコ』は、紙野の『言いたいこと』を正確に理解する。


「……あんたはあくまでも、私の設計者に過ぎず……定義上の『神』は、他にいる……と考えた方がよさそうね……さて、それらもろもろを踏まえた上で、これから、どうするべきか……」


 ぶつぶつと、自分の置かれている状況の詳細化と、これから先の行動プランを練っていくトコ。


 そんな彼女に対し、紙野は、ニコニコ顔で、


「いやぁ、助かるよ、トコ。俺はかなり無能なパパで、たぶん、何も出来ないけど、お前を守るためだったら、何でもするつもりでいるから、俺に出来そうなことは何でも言ってくれ」


「あんた、本当に何もできないの? 存在値が低くて、魔法が使えないのは分かったけど、私を設計したっていうのが本当なら、そういう、創造系の能力は持っているんじゃないの? ランク333の魔カードを創ったのが事実なら、それを、複製してほしいんだけど」


「……『専用のツール(パソコンとソフト)』がなければ無理。で、それは、ここにない。創造能力は皆無だと思ってほしい。で、ここはニコトピアじゃないから、世界に関する知識もなし。で、運動能力とかも特にないし、お前と違って賢いわけでもない。囲碁だけは、そこそこ打てるけど、それだって、『本当に才能がある人』には勝てないレベル――以上が俺のスペックの全てだ。つまり、今の俺は、本当に何もできない。……けど、やる気だけは十分だから、何でも言ってくれ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ