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3話 トコ・ドラッグは人気キャラ。


 3話 トコ・ドラッグは人気キャラ。


「俺の人生は、もうこれだけでいい。ニコトピアを完成させる。それだけが俺の全て」 


 動画のタイトルでもあり、創った世界の名称でもあるニコトピア。

 クソみたいな人生を支えてくれている唯一の趣味、生きがい。

 拠り所。つまりは、紙野創蔵の全て。


「あ、そうだ。人気投票はどうなったのかな」


 第30話の時から、有志がやってくれているキャラ人気投票。

 栄えある5回目の結果を見ながら、


「1位はヒナで、2位はティアラか。この辺は不動だな。代り映えしな……おぉ! マジで? トコが3位?! おぉ! すげぇ! 超重要キャラでもない、俺の完全オリジナルキャラなのに、3位?! ははは! すげぇ、すげぇ!」


 ヒナやティアラは、戦国時代の歴史ドラマを例にした時の、信長や秀吉のような、所謂お決まりの超メインキャラ。

 だが、トコは、重要キャラでもなんでもない、純粋なオリジナルキャラクター。


 紙野は思う。

 この瞬間こそ、自分のクリエイターとしての能力を認められた瞬間だと。


「キタァアアアア!! トコ、すげぇぞぉお! トコ、かわいい! トコ、最高! ああ、俺の中での好きなキャラランク一位のトコが、見事、上位入賞だよ! テンション、天元突破ぁあ! いやっふぅうう! これは、もう、ご褒美あげないと!」


 紙野はニヤニヤしながら、トコの所持アイテム欄に、今思いついたアイテムを打ち込んでいく。


「あー、えっと……ちょっと、これは強すぎるアイテムだなぁ。さすがにバランスブレイカーすぎる。装備品って扱いはやめて……消費アイテム扱いにしようか。うん、そうだよな。ニコトピアは、バランスと世界観を一番大事にしているんだから、一時のテンションに任せちゃダメだ」


 チクタクダンスでは、キャラのレベルを最大一億まで設定できるが、世界観のバランスを重視する紙野は、調整しやすいよう、世界の平均レベルをかなり低く抑えている。

 紙野の絶妙なバランス感覚も、ニコトピアが圧倒的な人気を誇っている理由の一つ。


「……うぅん、この条件でも、ちょっと強すぎるな。でも、せっかくご褒美なんだし、このくらいのアイテムにはしたい。えぇと……よし。他のキャラは、このアイテムの存在も知らないってことにしておこう。で、トコも、このアイテムは、よっぽどのことがないと使わない……と。これなら大丈夫かな」


 反省しながら、紙野は修正を施していく。

 自分を諫めつつ、人気投票の結果をもう一度確認する。


「ははは、なんか、露骨だなぁ。結局、かわいい女の子キャラが人気なんだよね。イーサンテなんて、主役なのに、男だから、二十六位……改めて考えるとひどいな」


 紙野が選んだシナリオは『天才発明家の巻』。


 あらすじは『夢の中で二千年代の日本の図書館を探索できる力を持った主人公が、剣と魔法の中世ヨーロッパ風ファンタジー世界で、電話やテレビを発明し、ついにはインターネットまで構築してしまう』


 イーサンテ・スアニージは、その夢の力を持つ天才主人公キャラなのだが、さえないメガネ男子ということで、人気は非常に薄い。


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