表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

441/1228

9907話 超苺の本質。


 9907話 超苺の本質。


「……間違いない。『聖なる死神』の因子フラグメントが隠されている……超苺、お前、よく見つけられたな……こんなもん、どうやったら自力で気づけるんだ?」


 例えるなら、それは、『世界一難しい間違い探し』で、『ここに注目してください』というヒントがなければ、よほど優れた洞察力があっても、なかなか、見つけることはできない、極端に巧妙な欺瞞。


 超苺は、クロートが発した『因子が隠されている』という言葉を受けて、

 ようやく、自分も、そのことに気づいた。


(あ、本当だ……よぉく見たら……確かに……へぇ……隠し方、すげぇうまいな……これは分からんわ……)


「後学のために、本当に教えてほしいんだが? いったい、どうやって見破った?」


 『なぁなぁのよいしょ』ではなく、『本気で教えて欲しい』という顔で超苺の顔を見るクロート。


 ただ、超苺は、


(いや、俺は、女の子を見ていただけで、何一つとして見破ったりとかはしてないから、教えられることなんか何もないんだが……)


 その感情を、丁寧な言葉にするのはダルかったので、

 いつもどおり、


「………………たまたまだ」


 と、簡素な言葉だけで事実を告げる。

 しかし、いつだって、周囲は、彼の言葉を、そのまま受け取ったりはしない。


「たまたま、たまたまって……お前、いつも、それを言うが、こんなたまたまばかりが続くことがあってたまるか。いつだって、お前が真っ先に、敵の繊細なはかりごとや、微小な違和感を察知するじゃないか。――いつも思っているが、お前の洞察力と観察眼は異質すぎる。――お前、どうせ、あれだろ? 推理小説とか読んでも楽しめないタチだろ。すぐに犯人が分かってしまうから」


(……洞察力とか観察眼とか、そんなもんは、一ミリもねぇよ。推理小説を読んで犯人が分かったことなんかないし……てか、そもそも、本じたい、あまり読まないし……俺は、女の子を遠目にチラ見して楽しんでいるだけの変態紳士なんだよ。俺が言う変態紳士は、『女の子に絶対に害を及ぼさないことを徹底している紳士的な変態』という凝り固まった底意地で、そこのスタンスに関しては誇りに思っているけど、それ以外で何か誇れるものとか一個もないよ。こんなこと、自分では、あんまり言いたくないけど、俺、お前らと比べたら、頭一つ抜けてバカなんだよ。基本、何も考えてねぇ、ただの変態なんだよ。あ、いや、変態紳士なんだよ)


 と、クロートの買いかぶりに対し、反論したいことは山のようにある。

 事実として、超苺は、基本、何も考えていない。

 頭がいいか悪いかで言えば――普通に、けっこうな、ちゃんとした『おバカさん』である。

 少なくとも、どっちの方が『頭がいいか』と言えば、確実にクロートの方が上。

 洞察力とか観察眼という特殊スキルの領域においても、

 間違いなくクロートの方が上。


 『真・神帝ヌル』が誇る配下・最高位幹部の中で、

 『頭のスペック』が最も低いのは、間違いなく超苺。


 爆裂に優秀な他の面々と比べて、超苺は頭一つ抜けて愚鈍。

 だが、いつも、いつも、

 『たたき出す結果』だけを見ると、

 超苺が、常に頭一つ抜けている。


 ――それが、『超苺・ギガロブルー・カノープス』という男の真髄。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ