9902話 禁忌に触れていくT。
9902話 禁忌に触れていくT。
(集めた情報によると、ヌルの配下の中では、クロートなんざ『中の上』ぐらい……『酒神』や『蝉原』や『超苺』は、普通に、クロートより強いというウワサ……え、これ、どうする? ……戦力が、全然たりへんねんけど……)
などと考えている間に、
クロートは、
「さすが、田中トウシ。『まったく完全ではない状態』にも関わらず、強い、強い」
くくっと、黒い笑みを浮かべてから、
「ただ、まあ……勝てんよ。やはりな」
そう言い捨てると、
魂魄の集中度を加速させる。
そして、宣言。
「――究極超神化7」
簡易版。
パーフェクトコールではないので、上昇率は微妙。
それでも、究極超神化7の輝きは確かに備わっていた。
「――『田中ウラスケ』がいない状態だと、7にはなれないだろう? 終わりだ、田中トウシ」
深い輝きをみせるクロート。
そんな彼の言葉を受けたTは、
「はっ、ナメられたもんやのう!」
と、一度、鼻で笑ってから、
アイテムボックスに手を伸ばして、
一枚の、まがまがしい魔カードを取り出すと、
「禁止魔カード、使用許可要請!!」
禁忌に触れていく。
『いずれくる決戦』に備えて『準備』はシッカリと進めていた。
まだ、完全に万端という状態ではないが、いくつか切り札は用意してある。
――許可する――
当然のように『許可』をもらったTは、
雑に、禁止魔カードを破り捨てながら、
「――はないちもんめ」
そう唱えると、
Tの全身が、紫銀のオーラにつつまれる。
そのオーラを、両手に集めて、
手の中で、丁寧にコネコネして、
深い闇色に染めていくと、
「確かにワシとソンキーだけやと、『究極超神化7』にはなれんけどなぁ……その弱点をどうにかするための方法も、必死に考えて用意しとったんじゃい! ナメんな、ボケ、カスゥ!」
そう言いながら、
深い闇色のオーラを、手中から分離させて、
人型に形成・変形させていく。
そして、そのダークオーラドールに向かって、
「スピリット・ファンクション、強制執行!!」
覚醒をうながす。
潜在能力の解放。
さらに、
「ミラブルース・アマルガメーション!!」
『はじけて混ざれ』と命じることで、
Tと、ダークオーラドールが一つになっていく。
そして完成したのは、
「――一時的に、『ウラスケ』の力を回収。『共鳴融合』も正常に発動……これで、飛べる。おどれよりも、高く、遠く」
X
:
〈* *〉
[**X**]
[X ※ * ※ * ※ X」
「―――――X【【究極超神化7】】X―――――」
[X ※ * ※ * ※ X]
[**X**]
〈* *〉
:
X
宣言により解放された神気は、
とても深い未知に包まれていて、
輪郭を失ったかのように思えた。
けれど、その目眩は、安い蜃気楼じゃなかった。
尊き蓮華。
絢爛な睡蓮。
蝕された銀と太陽の黒を包み込む、研ぎ澄まされた輝き。
たゆたう静謐の中、夕闇の果てにある輝きに包まれているT・104。
背負っているのは、アストラル神字が浮かぶ後光輪。
星のフレームを持つ黒銀の結晶がちりばめられた、絶烈な究極超神気。
銀華の煌めきを圧縮させたようなオーラ。
いくつかの限界を屈服させて、
詠うように輝く、天才界の一等賞。