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9898話 かませ犬以上でも、かませ犬以下でもない。


 9898話 かませ犬以上でも、かませ犬以下でもない。


「……は、ははは……ゴミがぁ……」


 吐き捨てた直後、バーチャは、疾走する。


 問答無用の殺戮を開始しようと、『ショデヒ(クロート)』に襲い掛かる。

 豪速の特攻。素のショデヒでは全く対処できないスピード。しかし、クロートの制御下にある今、バーチャの速度は、『そこそこ』の領域にとどまる。


「バーチャ……貴様は、才能があって、メンタルが強く、勤勉で、努力家だが……」


 『ショデヒ(クロート)』は、半笑いで、


「強者と磨き合った『回数』が、さすがに少なすぎる」


 サクっと、カウンターを決め込んでいく。

 鼻をつぶされたバーチャは、一瞬、視界がブラックアウト。

 しかし、すぐに、精神力で、持ちなおすと、ほとんど反射の勢いで、『ショデヒ(クロート)』に殴り掛かる。


 その強烈な連打をヌルヌルと回避しながら、

 『ショデヒ(クロート)』は、


「……貴様は、環境が悪すぎた。私の周りには、私と同等かそれ以上の化け物がうじゃうじゃいた。そして、上を見れば、尊き神が、いつだって、私を導いてくれた」


「凛打ぁあああ! 凛王打ぁあああ!」


 バーチャは、『ショデヒ(クロート)』の話など聞いてはいない。

 必死になって、どうにか、突破口を見つけ出そうとあがいている。

 ジャブに超必をかぶせる勢いの鬼連打。


 しかし、届かない。

 『ショデヒ(クロート)』とバーチャの間には、戦闘力の差がありすぎた。


「――零閃拳――」


 『ショデヒ(クロート)』の一撃は、練度がまったく足りていない拳。

 けれど、相手がバーチャなら十分だった。






「うぶおごぇえええっっっ!!!!!」






 大量の吐血。

 当然のように気絶。

 引くほどアッサリとした結末!

 サクっと一撃で意識をもっていかれたバーチャ。

 実に見事な『かませ犬』っぷり!

 かませ犬以上でも、かませ犬以下でもない男!

 それが、バーチャ・ルカーノ・ロッキィ!



「……さて……それじゃあ、本番と行こうか……」



 そうつぶやいてから、

 『ショデヒ(クロート)』は、

 『本命』の元へと歩みを進める。



 ★



 バーチャが突破されたことは、

 Tも理解できていた。


 あれだけ強大な反応に気づかない方がおかしい。

 Tは、すぐさま、『ショデヒ(クロート)』に対抗するための準備をはじめた。

 ――いや、『すでに終えている準備』を『整えた』と言った方が正しい。


 『いずれは、【ヌル(真・神帝)】の刺客がくる』

 ……と確信していたから、最初から準備だけはしておいた。


 ただ、こんなにも早いとは思っていなかった。

 Tは、


(……できれば、『エルメスだけで対処したい』んやけど……難しいかもしれんなぁ……せめて、ザラキエリは温存したいんやけど……)


 心の中で、つぶやきつつ、

 周囲をチラ見するT。

 今、彼の周囲には、聖龍王国の上位勢がそろっている。


 実のところ、彼・彼女らが、Tの切り札。

 『ヌル(真・神帝)』の刺客が来た時のために用意しておいた対抗策。


(……きたな……)


 そう感知したと同時、

 『ショデヒ(クロート)』が、Tの目の前に瞬間移動してきた。


 眼前の『ショデヒ(クロート)』を冷静に見つめながら、

 Tは、心底から鬱陶しそうな表情を浮かべ、


「……『ヌル(真・神帝)』の刺客やな。……驚いたで。時期的には、まだ、介入できんはずなんやけど……」


 そう問いかけると、

 『ショデヒ(クロート)』は、


「お前の知らないところで、革命が起きたんだよ。蝉原勇吾が究極超神化8のカケラを回収した。――蝉原……性根は腐っているが、さすがの仕事ぶり。禁止魔カードを使ったとしても、『極めて短い時間』しか、この世界に顕現できなかったというのに、見事、完璧に仕事をはたしてみせた。ちなみに言っておくと、この暴露のアリア・ギアスも前借りした上での強引な介入。つまりは、かなり『ギリギリ』だったということ」


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