43話 顕現する、1兆の敵。
43話 顕現する、1兆の敵。
――翌日、さっそく、ヤオヨロズの迷宮に向かおうとするセン。
「私たちもご一緒させていただきます」
と、ふざけたことをぬかすアダムに、
『足手まといノーサンキュー』を宣言するセン。
しかし、ニーが、
「――『扉の間』には、『非戦闘者に攻撃が届かないセーフティエリアがあるから、観戦も可能』だよ」
などとナメたことをぬかしやがったので、
『じゃあ、問題はない』ということになり、
結局、全員で、『1兆の敵』の元へと向かうことになった。
『次元ロック担当のニー』が、こちら側についているので、
最下層まで瞬間移動で一っ飛びすることができた。
セーフティエリアに、アダムとシューリを配置して、
センは、扉の前で、精神統一。
(……さーて、どうしたもんかな……)
ハッキリ言って、まともにやって勝てる見込みはまったくない。
だが、そんなことは、2億年前からわかっているので、
(……まあ、とりあえずは、これまでに積み重ねてきたものを、全部、ぶちこんでいくしかねぇよな……念のため、『自爆』の魔カードは用意してあるが……はたして、通用するか……)
魔法を込めることができるアイテム『魔カード』。
時間をかけて、じっくりと魔力を溜めていくことも可能で、
センは、その『自爆の魔カード』に、2億年かけて、魔力を注ぎ込んできた。
(自爆だけで殺せるとは思えねぇ……使うとしてもトドメの一撃。できるかぎり、ダメージを与えてからだ……)
今日で死ぬ気満々のセンは、
自分の奥へと没頭しつつ、
『1兆の敵』が出てくるのを待った。
(さて……どんなツラかな……イケメンだったらいいんだけどな……なぜなら、俺はイケメンが嫌いだから。正式にイケメンをボコれるチャンスは、純粋にありがたい。どうせ死ぬなら、イケメンを殺してから死にたい。わー、俺、最低ぇ)
などと、雑にチョケ散らかすことで、
どうにか、心を落ち着かせていると、
そこで、
「……ん?」
扉が、パァアっと、淡く光り出した。
(……くるか……)
身構える。
脳がギュっとなった。
冷や汗があふれる。
(どうか、『戦闘力は低め』のパターンで頼む……できれば、1兆ってのは嘘であってくれ。1000億ぐらいだったら、確実に殺せるから、そのぐらいで頼む……)
などと、『なるべく難易度が低いパターンであってくれ』と祈りをささげるセン。
そんなセンの前に、
『ソレ』は現れた。
――ポトン、
と、扉の前に落ちる、一つのブレスレット。
「……ん?」
警戒状態を崩さないセン。
すでに、扉の『淡い光』は消えている。
数秒ほど待ってみたが、なにもおこらない。
「……んー……?」
警戒心はそのままに、センは、扉の前に落ちているブレスレットに近づく。
一度、足で、ツンツンしてから、
「……ん……ん~?」
ゆっくりと、ひろいあげる。
(……俺のプロパティアイでも何も見えない……高次のフェイクオーラがかけられているのか、それとも、マジでただのブレスレットなのか……)




