表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

422/1228

9888話 粘り強さ。


 9888話 粘り強さ。


 クロートのダンテレイは、非常に高火力で、当然のように、ショデヒのドリームオーラでは対処しきれなかった。

 かなりのダメージを受けてしまった――が、


(……バーチャ級ではない……神化していないエルメスと同等かそれ以下と言ったところ……)


 ダンテレイの一手を受けたことで、

 クロートの底を見極めるショデヒ。


(……『まあまあ強い』が……『聖主から賜った神器に身を包んでいる今の私』ならば、対処できないレベルではない……っ)


 そう結論づけると、

 ショデヒは、右手にオーラと魔力をぶちこんで、


「異次元砲ぉお!!」


 ショデヒにとっての最高火力を放つ。


 その一撃を、クロートは、異次元砲で迎えることなく、

 その身で受け止めた。


 高火力の照射を一身に浴びて、

 しっかりとダメージを受けた様子のクロート。


「ふむ……思ったよりは威力が高いな……」


 ボソっとそうつぶやいたクロートに、

 ショデヒは、


「素晴らしい。私の異次元砲を受けて、その程度とは……」


 『丁寧に褒め言葉を並べる』という手法で、

 自分のペースに引き込もうとする。


「クロートさん、あなたは、かなりお強い。正直、私よりも強いでしょう。しかし、我が国には、私やあなたよりも強い者が数名おります。どうです? こんな、暴力的な対話はやめにして、対等な交渉をしませんか? お互いがお互いを支え合う関係――ウィンウィンの関係を目指しませんか?」


 あくまでも、交渉を続けようとするショデヒ。

 いうまでもないが『平和主義者だから』ではない。


 ここまでするだけの価値が『強者』にはある、という、極めてビジネスライクな話。


 そんな、無駄な努力を続けようとするショデヒに、

 クロートは、


「向上心と粘り強い精神力……極上と言えるレベルではないが、間違いなく悪くはないレベル……自我を完全に消し去るよりも、ある程度残しておいた方が有益か……」


 ぶつぶつと、そうつぶやいた直後、

 クロートは、両手を合わせて、


「神化」


 別次元へと至るギアを入れる。


 その様を見たショデヒは、一瞬で苦い顔になり、


(ちっ……ソレ出来るのか……ああ、そう……まったく、まったく……ちっ)


 しんどそうに、二度、舌を打ってから、


(そのチートを使われると……もう、こちらに打つ手はない……)


 神化などという、ショデヒ視点における『イカれた反則技』を使われてしまうと、

 もはや、ショデヒに出来ることは何もない。


 即座に、帰還用のアイテムを使って、逃走をこころみるが、


(っ……次元ロック……っ!)


 『逃走は不可能である』と理解すると同時、

 ショデヒは、クロートに向かって叫ぶ。


「そ、その異質な変身は強大! 認める! しかし、私の国にも、同じ変身技を使える者が存在している! はやまるな!」


 焦った口調。

 ここまでくると、対面を繕っている余裕はない。


 要約すると、『私を殺すな』という意味に他ならない。

 利益を追及するターンは終了し、

 ここからは、いかにして、死なずにこの場を整えるか、というターンに入る。


 そんなショデヒに、クロートは、


「もう、おしゃべりはいい」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ