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9875話 世界に毒をまいていくショデヒ。


 9875話 世界に毒をまいていくショデヒ。


「つまり、聖龍王国は、全世界の敵になると? すべてを失うぞ?」


「いえいえ、全世界を敵にまわすことを望んでいるわけではありません。今後の立ち回りでヘタを打ったら、そうなってしまう――その可能性を十分理解した上で、聖龍王国は、ルース平野を求めている……と、そうご理解いただきたいのです」


「できれば、穏便に、領土を奪いたいと? 国際社会で、そんな虫のいい話が通じるとでも?」


「何も示さず、ただ利益だけを得る気は毛頭ありません」


 そこで、ショデヒは、

 いったん、意味深な間をおいてから、


「ホアノス議員。……もし、聖龍王国に対して便宜をはかってくださるのであれば、『このランクの魔カード』を、あなた様に対し、優先的に……というよりも、独占的に、おゆずりしたいと考えております」


 そう言いながら、魔カードの束をさしだした。


 その魔カードの束を受け取り、束の一番上にある魔カードのランクを確認したホアノスは、

 一度、目をひんむいて、


(ら、ランク20の魔カード?!)


 全身の血が沸騰するのを感じた。


 すぐさま、すべての魔カードのランクを確認する。

 全部で10枚。

 その10枚すべてがランク20。


(……たった一枚の秘宝というわけではなく……量産できるというのか……ランク20の魔カードを?! し、信じられん! いったい、どういう技術……っ)


 ホアノスはバカではないので、これの価値がすぐさま理解できる。


 だが、立場的にも、状況的にも、ヨダレを垂らしているところを見せるわけにはいかない。

 腹芸は、政治家の十八番。

 ホアノスは、ポーカーフェイスを貫いたまま、

 冷静に、


「なかなか高ランクな魔カードだ。それを、これだけの枚数、用意するとは……いったい、どうやった?」


「新たな王の力の一つでございます。新たなる我が王は、特異な力をもっておりまして、高ランクの魔カードを大量につくりだすことができるのです」


「……その力で、エルメスを失脚させた、とそういうことか?」


「まさしく」


「……ふむ」


 ホアノスは、動揺を精緻に隠しながら、


(……これだけの力……もし、本当に、私が独占できれば……その上で、うまく立ち回ることが出来れば……国家主席の座は確実……いや、それどころか、全大陸を支配することも不可能ではない……)


 頭の中で、未来を想う。

 自分が世界の頂点に立っているシーン。



 ――『モンスターの国に、やばすぎる王が出現して、今後、世界が大変になるかもしれない』と、そんな風に考えることはない。

 彼は、自分の欲望にのみ忠実。

 彼が思い描く『未来』とは、

 『自分が最大限の利益を得ている未来』であって、

 世界や民や歴史なんかは、心底どうだっていい。


 最悪の未来を慮る暇があるなら、

 一つでも多くの『欲望を実現させるための手段』を考える。

 ――それが、ホアノスの生きる道。


 彼は頭の使い方を知らないバカではないのだが、

 しかし、間違いなく、『賢者』ではないのだ。


(……やり方しだいだ……大きな力も、使い方を理解していなければ宝の持ち腐れ。これだけの魔カード……どう使うのが最善?)



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